【現場から、】台風19号災害

2019年11月7日【福島発】
障害児施設も被災、必要な支援とは

台風19号による影響は、子どもたちにも出ています。福島県のいわき市では、重い障害がある子どもたちを預かる施設が浸水被害を受けました。

重い知的障害に加え、手足が動かせないなどの重症心身障害児を対象にした福島県いわき市のデイサービス施設「どりーむず」。一見するといつもの朝のようですが、そうではありませんでした。

「『どういうこと?』みたいな」

「青空ないとねえ…」

寝たきりの子どもたちのために施設の天井に広がっていた青空。それは今、ありません。いわき市好間町にあった施設は台風19号で被災し、現在は仮の事業所で子どもたちを預かります。

運営するNPOの理事長・笠間真紀さん。施設に加えて、自宅も被災しました。

「とりあえず、取り出せたものだったりとか、ゆずっていただいたバギーだったり…。オープン前にみんなで塗った壁だったので、みなさんもがっかりして…」(笠間真紀さん)

先月12日の夜に浸水した「どりーむず」でしたが、これまでのつながりで、全国からボランティアが集まりました。また、市内の病院がスペースの無償提供を申し出て、16日には再開にこぎ着けました。臨時休業は1日でした。

「(子どもを)2階に上げるというだけでも、大変な生活なんですよね。土砂とか片付けをするのに、重症児のお子さんを見ながら掃除するって、とてもできない。一日でも早く開けたいと思ったので」(笠間真紀さん)

自身も重症児の理恩くん(9)の母である笠間さん。大変な状況だからこそ、施設の再開を急ぎました。

呼吸器に病気がある満希ちゃん(10か月)の母・山田薫さん。自宅は玄関まで浸水しました。

「精神的にはすごくよりどころになっているような場所なので、こうやってスタッフのみなさんや友達の顔を見れるのは、本当にうれしいことです」(山田薫さん)

今回の災害では、課題も見えてきました。浸水した際、笠間さん自身が行った避難所は満員で、理恩くんは12時間、車中泊を強いられました。笠間さんは、障害者や高齢者へのケアが可能な福祉避難所を、早期に開く必要性を感じています。

「福祉避難所って(一般の避難所と)同時に開かないんですよね。元々そういう仕組みになっている。最初から行ける福祉避難所というのはないんですよ」(笠間真紀さん)

これまでも、これからも。子どもたちが集まり、重症児の親のよりどころとなってきた「どりーむず」。施設は、再開に向けて工事中です。再び、子どもたちが青空を見られるようになるその日まで。もう少し時間がかかりそうです。

- 取材後記 -
「障害児施設も被災、必要な支援とは」
テレビユー福島 木田修作 記者

この放送で問われていることはシンプルだ。

「災害のとき、障害者はどこに逃げればいいの?」ということである。

放送のあと、少なからぬ反響があった。障害者の避難のあり方についてより深く考えようと、TUFではこの「どりーむず」を含む県内2か所の障害児施設にアンケート調査をした。

23人から回答が寄せられ、そのうち8割近い18人が避難をしていなかった。避難をしなかった理由として半数近い8人が「避難先でほかの避難者に迷惑がかかる」ことを挙げた。

また、避難した人の避難先は、親類宅や車中泊などで、自治体が設置した避難所へ行った人はいなかった。

寝たきりの子は広いスペースが必要になる。生命に直結する機器をつけている子は、電源を多めに確保しなければならない。慣れない環境だと大声をあげてしまう…。想定される状況とこれまでの経験から、災害の危険が迫っているかもしれない自宅が「最善」と選択せざるを得ない状況が、この水害で浮き彫りになった。

この問題に、部外者はいない。全員が当事者である。

本来真っ先にケアされるべき人たちが「迷惑がかかる」ことを理由に、我慢や遠慮をしている。これは明らかに健常者や受け入れる側の問題だからだ。

「私たちはどこに逃げればいいの?」

東日本大震災をはじめ、これまで何度も大きな災害に見舞われているはずなのに、私を含めた大人たちは、子どもたちのこの問いにまだ答えられていない。