【現場から、】台風19号災害

2019年10月27日【福島発】
福島のキュウリ産地に打撃

甚大な被害をもたらした台風19号は、農業にも大きな打撃を与えました。阿武隈川の氾濫で、特産のキュウリや果樹園に大きな被害が出た福島県からの報告です。

元の形がわからないほど壊れ、畑の隅に積み重なっているのはキュウリのハウスです。

阿武隈川の氾濫でハウス5棟が流された福島県須賀川市のキュウリ農家、安藤文枝さん(60)。

「ハウスが5棟並んでいた。それが全部押し流された。みんな流された」(安藤文枝さん)

福島県から宮城県にかけて大きく蛇行しながら流れる阿武隈川。須賀川市はその上流域にあります。安藤さんのキュウリ畑は、阿武隈川が蛇行する場所にあることから、これまでもたびたび、被害を受けてきました。

「これがキュウリの根です。まだ生きていた根。まだ収穫していた。全滅です。私が来た時には、すでに更地。この状態」(安藤文枝さん)

福島県はキュウリの生産が盛んで、夏から秋にかけての生産量は日本一を誇ります。地域の農業を支える特産のキュウリに出た大きな被害。

2011年の水害でも被害を受け、再起を果たした安藤さんですが、今は壊れたハウスを片付けることしか考えられないといいます。

「まずここを更地にして、そこまでもっていくのが再建の第一歩」(安藤文枝さん)

阿武隈川流域では、果樹園も大きな被害を受けました。

「何もない。土まで持っていかれた。えぐり取られて。表土を50センチもっていかれた」(果樹・野菜農家 小林一徳さん)

引きちぎられた木の幹。根本から倒れた電柱。須賀川市の果樹園では、リンゴやナシ、それにモモなど300本近くの木が阿武隈川の濁流で根こそぎ流されました。

植えてから20年以上手入れを続けてきた果樹が絡まるように積み重なり、根が引き抜かれた跡には、深さ1メートル近くある穴があちこちに開いています。そして、果樹園には大量の砂も。

「これは、今度の洪水で上流から運ばれて来た砂」(小林一徳さん)

濁流が運んできた砂が果樹園を一面埋め尽くし、どこから手を付けていいのかわからない状態です。

「もうどうしたらいいか。腰が折れちゃって。どうしていいかわからない。どういう復旧をしたらいいか」(小林一徳さん)

原発事故に伴う深刻な風評被害から立ち上がり、少しずつ上向いてきた福島の農業を襲った台風。生産の基盤を根こそぎ失った農家は、先の見通しが立たず、不安な日々を過ごしています。