【現場から、】台風19号災害

2019年10月23日【群馬発】
“ノーマーク地域”で土砂災害、見直し急務

群馬県では土砂崩れで3人が死亡しましたが、この現場は「土砂災害警戒区域」に指定されていない、住民も行政もノーマークの場所でした。自治体は新たな対応を迫られています。

群馬県富岡市内匠地区。辺りが暗くなろうとしていた12日の午後4時半ごろ、土砂崩れが起きました。

「音は地鳴りみたいな感じ。ドーンという感じで」(付近住民)

土砂は住宅6軒を巻き込み、3人の命を奪いました。山のそばに2人で暮らしていた田村勉さん(53)と母親のあや子さん(79)。あや子さんは老人会を盛り上げるムードメーカー的な存在で、親子2人でよくドライブに出かけていたといいます。その2人は突然、土砂に飲み込まれ、犠牲となりました。

「こんなお母さん思いの人がいるんだと。どちらか残ってもつらかったと思うので、(天国でも)2人で一緒にいられたらいいな」(勉さんの勤務先の社長)

土砂崩れが起きた現場は住民たちにとって意外な場所でした。

「崩れるなんて思いもしなかった」(付近住民)

「もっと危ないところがいっぱいある。ここは想定外の想定外の想定外のうちの1か所」(付近住民)

「こちらが土砂崩れが起きた現場なんですが、斜面も緩やかで、どこにでもあるような裏山といった印象です」(記者)

土砂崩れが起きた斜面は傾斜がおよそ20度と緩やかで、「土砂災害警戒区域」には指定されていませんでした。こちらは現場近くの「土砂災害警戒区域」の斜面。県は法律に基づき、30度以上の急傾斜地を「土砂災害警戒区域」に指定しています。

しかし、市は、この地区が「土砂災害警戒区域」に指定されていないことや過去災害がなかったことなどから避難勧告を出せず、避難は住民の自主判断に頼らざるを得ませんでした。

「避難勧告がこの地域は出ていなくて、みんな安心感があって家にとどまっていた」(被災した住民)

15日、土砂災害に詳しい群馬県の担当者や国土交通省の専門家が現場を視察しました。専門家らによりますと、現場では、台風19号の影響で、11日午前2時の降り始めからの総雨量がおよそ400ミリに達していました。

大量の雨水が地中に浸透したため、岩盤の上にある火山灰などからできた関東ローム層が粘土化。水と共に滑って崩落したとみられるということです。緩やかな斜面であっても、多量の雨が地中に染み込むと、土砂崩れが起きうることが浮き彫りとなりました。

「通常の雨では、まず起きないんだろうなと。詳しく調べないと、どれが(防災に)効果的か分からないというのが正直なところ」(群馬県砂防課・総見良二次長)

また、行政も市民の犠牲を防ぐことはできませんでした。

「すぐに危険が迫っているという情報が取れなかった。判断が間違っていたとは思っていないが、それも含めてしっかり検証していきたい」(富岡市・中嶋一雄危機管理監)

“ノーマーク”だった場所で起きた土砂崩れ。富岡市は今後、住民から地下水が湧き出る場所などを聞き取り、危険区域の洗い出しを進める方針です。