#どこ行くアメリカ The Choice 2020

10月3日 放送

米大統領選、人種差別の背景に歴史認識の違い

トランプ大統領の新型コロナ感染で影響が避けられなくなったのが1か月後の大統領選挙です。焦点の1つは社会の分断を深める「人種差別」ですが、実はその背景には奴隷制度をめぐる「歴史認識」の問題があります。

黒人差別への抗議の激化とともに各地で引き倒された「銅像」の多くは、南北戦争で「奴隷制度の存続」を主張した南部同盟に関わるものです。かつての南部同盟の首都、バージニア州リッチモンド市。南部の“英雄”の銅像が数多くありますが、市の歴史で最も若い黒人の市長が、撤去に踏み切りました。

「銅像は『南部の支配者は白人なのだ』という誤ったメッセージを植え付け、黒人を脅す目的で建てられたのです」(リッチモンド市 ストーニー市長)

「銅像は、“現代に続く黒人差別を肯定するもの”」という問題意識があったのです。しかし…

「左派の連中は、米国の歴史を欺まんとうそで汚し歪曲している」(アメリカ トランプ大統領)

“歴史と伝統”を強調し、「銅像を守るべきだ」と保守層向けに訴えるトランプ氏に共感する人たちもいます。南北戦争の激戦地として知られる、ペンシルベニア州ゲティスバーグ。戦いの再現イベントが人気ですが、ここでは、南北戦争は「奴隷制度の存続をめぐる争いだった」という定説とは違う解釈が聞かれます。

「北部は奴隷制廃止のため戦いましたが、南部は自分たちの権利のため戦いました。南部は“自らの行動を決める自由”を得たかったんです」(南北戦争再現の参加者)

こうした認識は、まれではなく、世論調査では4割が戦争の一番の原因は「奴隷制度ではなかった」と答えています。南北戦争の生存者や遺族が結成した団体「南軍兵士の子孫の会」のメンバーで、彫刻家のキャスティールさんは、「奴隷制を美化したいわけではなく、先祖の“名誉”を守りたい」といいます。

「私には南北両軍に先祖がいます。私の家族です。南部では、家族は極めて重要です」(「南軍兵士の子孫の会」 彫刻家 キャスティールさん)

いま、銅像の修理や新たな制作の依頼が相次いでいるといいます。

「トランプ大統領が歴史を守ろうとしていて、うれしく思います。銅像撤去の次は何ですか?」(「南軍兵士の子孫の会」 彫刻家 キャスティールさん)

国の未来を左右する、大統領選。「歴史認識」をめぐる“分断”も浮き彫りにしています。