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TBS NEWS

2021年10月25日

今週の注目「中国4%成長の衝撃」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

中国の今年7-9月期の実質GDP(国内総生産)は、前年同期比で4.9%増に留まり、前期の伸び率7.9%から大きく低下し、事前予想の5%台にも届きませんでした。通常、欧米や日本で使う前期比年率で見ても、0.8%増と極めて低い数字で、4-6月期から急減速した姿がうかがえます。

原材料価格の高騰や半導体不足に加え、電力不足も生産活動を下押ししました。また中国恒大集団の経営危機に代表されるように、不動産・開発分野への規制強化で新規投資が減少すると共に、不動産企業の資金繰りの悪化に伴って施工が滞っていることも影響しています。一方で国内消費も冴えません。中国のGDPの割合はおよそ4割とアメリカ(7割)、日本(3分の2)に比べてまだ低いのですが、抑え込んだとされていたコロナ感染がデルタ株の出現で警戒感を呼び起こし、旅行や外食などの消費を抑えました。何より肝心の雇用や所得の伸びが鈍く、内需主導経済への転換は程遠いようです。

結局のところ、好調だったのは輸出だけで、中国国家統計局は「回復は依然として不安定でバランスを欠いている」と認めています。5%を割り込んだ成長は、新型コロナが直撃した2020年を除くと、今の統計方式になった1992年以降、一度もなく、今回のような通常期での4%台成長がいかに異例であるかがわかります。

そもそも中国の統計については、その信頼性を疑問視する声も根強いのですが、少なくとも傾向を反映していると言えるでしょう。10年でGDPを倍にするという目標を達成するには6%代前半の伸びが必要ですから、今回の4.9%と言う数字は落第点ですし、これまでもまだまだ貧しい層の人口が多い中国では、社会の安定のためには5%成長が「必須」と言われてきましたので、4.9%と言う数字は相当ショッキングな数字です。

これに対して習近平政権は、「バブル許すまじ」とばかりに不動産セクターへ規制強化路線は変えず、民間が中心のIT産業や教育産業への締め付けも強化し、西側世界との対立を深める強硬外交路線をとり続けており、今後、成長が巡航速度に戻るかどうかは、とても不透明です。

世界経済はこの25年、中国の高成長を前提に回ってきました。中国が作り出す貪欲な需要が世界の景気を牽引して来たわけで、日本にとっても中国は最大の輸出先になりました。その中国の成長率が仮に半分になったら世界経済はどうなってしまうのでしょうか。これまでチャイナリスクと言うと、中国が強く大きくなるにつれ傍若無人に振る舞うことが意識されてきましたが、中国4%成長という衝撃の数字は、低成長という新たなチャイナリスクを認識させることになりました。

播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(土曜午前11時)」キャスター。