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TBS NEWS

2021年2月8日

今週の注目「ロビンフッダーの戦いは、もうゲームオーバー?」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 アメリカの株式市場のかく乱要因となっていた、自称「正義の味方」のロビンフッダー達、この1週間は鳴りを潜めたようです。

 アメリカのゲームソフト販売大手「ゲームストップ」などの株価が乱高下した問題で、イエレン財務長官は、4日、FRBや、証券取引委員会、商品先物取引委員会らの首脳と会合を持ち、対応を協議しました。この中でイエレン長官は、「相場の変動が大きくとも金融システムには不安はない」との認識を示した上で、今後、投資家保護や公平な市場にかなった取引が行われたかどうか、関係当局と調査を進めるとしています。

 ゲームストップなどの株価は先月、「ロビンフッダー」と呼ばれる個人投資家たちが、空売りしていたヘッジファンドに対抗しようと、SNSの掲示板で連携して集中的に買いを入れたことから急上昇、掲示板には「ウォールストリートに打ち勝った」といった勝利宣言まで書き込まれました。その一方で、アプリを運営する証券会社が取引制限を行い、逆に急落する場面もあるなど、株価は大きく乱高下していました。

 その後2月に入ると、目的を達したかのように、ゲームストップ株は急落、一時300ドルを超えたものが、5日には63ドルにまで下落しています。

 この問題は、株式市場全体にも波及し、ダウ平均株価は、1月最終週には、投機的な動きを嫌気して大きく下落し、バブル崩壊の前兆か、と心配する向きさえありました。しかし、2月に入ると、「投機的な取引が収まり、不透明感が払しょくされた」との見方から大きく切り返して、混乱前の水準まで一気に戻しました。その意味では、バブル崩壊の心配は、ひとまず杞憂に終わりました。

 もっとも、一旦は鳴りを潜めた形の「新型」個人投資家たちですが、ゲームストップ株をめぐる戦いは終わったのか、すなわちゲームオーバーなのか?或いは、新たな正義実現のターゲットを見つけ出すことになるのか?ネットでつながる個人が株取引で「共闘する」という新たな潮流だけに、依然、目が離せない状況は続いています。

 また、2月18日に開かれることになった、アメリカ議会の公聴会で、議員たちの批判の矛先がどこに向くのか、バイデン政権の金融規制強化の方向性を示すことになるだけに、当局の動きにも大きな注目が集まります。

 誰が「正義」で、誰が「悪者」のなるのか、株取引アプリ「ロビンフッド」をめぐる動きの先は、まだまだ見通せません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月7日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。