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TBS NEWS

2021年1月18日

今週の注目「厳冬で電力需給がひっ迫」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 雪と寒さでいきなり電力需給がひっ迫する事態です。

 全国的に厳しい寒さとなり、日本海側だけでなく九州でも広い範囲で雪が降った12日、暖房使用の増加などによる電力需要が急増し、大手電力管内では供給力に対する使用率が90%を超えました。中でも関西電力の最大使用率は99%、四国電力で98%、東北電力で97%などと、必要とされる予備率3%を下回る「大変厳しい状況」となり、電力各社は企業や家庭に効率的な電気の使用を呼びかけたほどです。

 今回のひっ迫は、需要急増が全国規模で起きたことが大きな要因ですが、供給面では、発電量の4割を占めている天然ガス発電の原料であるLNG=液化天然ガスの在庫不足によって、天然ガス火力発電所を常時最大出力で稼働させることが難しくなっていることが大きな要因だということで、電力各社はLNGの緊急調達に奔走しています。

 天然ガスはオーストラリアやアメリカなどの海外で生産され、マイナス162度で液化されて専用タンカーで日本に輸入されています。このため長期契約が主体で、契約から実際の到着までにはどんなに急いでも1か月以上はかかるものです。去年はコロナショックでエネルギー需要が一時大きく落ち込んだこともあって、各社とも電力需要の見通しが少し甘くなってしまったわけです。また急いで調達に走ったものの、北アジア全体の需要増やいくつかの生産設備での不具合、パナマ運河の渋滞などが重なって在庫不足に陥ったということです。

 福島原発事故以来、原子力発電所の稼働が進まない中で、火力発電のうち二酸化炭素の排出量が比較的少ないということで天然ガス発電は主役に躍り出たわけですが、そもそも気化しやすく長期の貯蔵に向かないものだけに、安定供給をどう担保するのか、重い課題が突き付けられた形です。

 また、期待が集まる太陽光発電も、今回のような悪天候の時には頼りにません。例えば九州電力ではすでに発電量の1割以上を太陽光発電が占めており、雪で需要が急増する日に、1割もの発電量がなくなってしまえば、需給がタイトになるのは当然のことです。風力発電も吹雪など猛烈な風の際は、逆に動かせないと言います。脱炭素社会に舵を切るにあたって、太陽光や風力など再生エネルギーに対する調整電源をどう手当てするのか、また、再生エネでできた電力をどのように貯めておくのか、といった具体的な議論も必要でしょう。

(BS-TBS「Bizスクエア」 1月17日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。