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TBS NEWS

2020年12月21日

今週の注目「ドコモの『価格破壊』戦略、さらに進む」

[ TBSテレビ報道局 上席解説委員 播摩卓士 ]

 ドコモの『価格破壊』戦略が、さらに前進です。

 NTTドコモは、18日、大容量の携帯電話料金プランである「ギガホ」の値下げを発表しました。具体的には来年4月から、5G対応のギガホを現在より1000円引き下げて月額6650円とし、通信容量も無制限とするほか、利用者が多い4G対応についても、通信容量を60ギガバイトに拡大した上で、6550円へと600円値下げします。これで5G向けの無制限プランでは、KDDIのauより2000円安くなることになります。

 NTTドコモは、先日、20ギガバイトまでの中容量の領域で、新サービスの「アハモ」を、来年3月から月額2980円で提供すると発表、通信業界に大きな衝撃を与えていました。

 NTTドコモは、残る7ギガ以下の小容量で従量制のプラン「ギガライト」についても料金見直しを行う方針です。

 アハモに加えて、5G対応や大容量で値下げというのは、若い世代を取り込みたいというドコモの戦略がうかがえますが、今回は同時に、初めてスマホを持つ人向けに月額1480円という低価格プランも提供、携帯電話会社を乗り換える際の番号持ち運び制度(MNP)の手数料も無料化すると発表するなど、フルラインで料金を見直す姿勢が鮮明になっており、菅政権の料金引き下げ要請を真正面から受け止めた形です。

 本来、市場経済では、既存の業者間の競争や新規参入の促進を通じて価格の低下を実現すべきものですが、結局、3社寡占で引き下げが進まない現状に業を煮やした政治の圧力で、政府が出資する最大手のNTTグループが値下げを先導する役を果たしました。もちろん、一貫してシェアを落としてきたNTTドコモが、値下げや料金体系見直しで反転攻勢をしかけたという面もありますが、つい先日、ドコモを完全子会社化したNTTグループにとっては、携帯電話の料金引き下げ問題で政権と対立するよりは、今後の稼ぎ頭になり得る、次世代通信網の国際的な展開などをめぐって政府の支援と協力を取り付ける方がずっと重要という、したたかな判断との見方もできます。

 ドコモが仕掛けた『価格破壊』で、いよいよ業界内の価格競争が本格化します。年明けに予想されるライバル2社の次の一手に注目です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 12月20日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBSテレビ報道局 上席解説委員)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。ワシントン支局長、NEWS23キャスター、編集主幹、解説室長などを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。