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TBS NEWS

2020年8月31日

今週の注目「空飛ぶクルマが有人飛行実験に成功」

[ TBS報道局 解説・専門記者室長 播摩卓士 ]

 夢の移動手段である「空飛ぶクルマ」、日本のベンチャーが1つハードルを超えました。

 トヨタ自動車の出身者らが設立したスタートアップ企業、スカイドライブは、このほど人を乗せて飛行する実験に成功しました。1人乗りで8枚のプロペラを電動で回して飛ぶ仕組みで、高さ2メートル、時速4キロで4分飛行しました。実用化されれば、六本木から鎌倉までおよそ20分で移動できるということで、渋滞の解消をはじめ、離党への移動や救急搬送などでの活躍も期待されています。スカイドライブには、トヨタ自動車をはじめ、パナソニックやNECなど日本を代表する多くの企業が、資金や部品を提供するなどの協力を行っていて、3年後の実用化をめざしています。

 垂直に離着陸した上で、水平に移動するという「空飛ぶクルマ」は、その市場が170兆円になるとも試算されており、アメリカ、中国、ヨーロッパなど世界各国で開発競争が激しくなっており、先行する海外企業に対し、日本のモノづくり技術を結集して追いかける展開となっています。

 しかし、夢の「空飛ぶクルマ」の実現までには課題が山積です。安全性も含めた技術や開発資金の問題がクリアできても、そもそも全く新しい乗り物だけにルールがありません。既存の法律では、航空法などの対象になるのでしょうが、飛行機やヘリコプターと同じ扱いでは実験すらままならないでしょう。こうした規制がイノベーションや新しいサービスの大きな障壁になるのは、自動運転やドローンの例からも明らかです。狭い国土でとりわけ都市部に人口が密集するという日本の国土の特徴もディスアドバンテージかもしれません。

 次世代のヒット商品開発競争を勝ち抜くためには、既存の行政の縦割りや法律の制約から解き放つ総合的な支援体制が必要不可欠です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 8月30日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局 解説・専門記者室長)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。