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TBS NEWS

2020年8月10日

今週の注目「個人送金手数料引き下げに向け、大手銀が新システム」

[ TBS報道局 解説・専門記者室長 播摩卓士 ]

 個人の小口送金の手数料引き下げに向けて、大手銀行がようやく動き出しました。

 三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそなの大手銀行は、6日、スマートフォンのアプリを介して、個人間の送金を安い手数料で行える、新たな決済システムの構築の検討を始めると発表しました。家庭内の送金や会費の収集など少額の送金を想定しています。

 システムとしては、現在、銀行間決済に使っている「全銀システム」とは別に、「Jデビット」と呼ばれる、買い物の際に銀行口座から代金を直接引き落とせるシステムの基盤を活用して、コストの安い新たなシステムを構築することにしており、大手銀行のほか地方銀行や、将来的にはIT企業系の決済サービス事業者にも参加を呼び掛けることにしています。今後、具体的な制度設計を急ぎ、短期間でのサービス開始を目指しています。

 個人送金をめぐっては、口座振込みの手数料が高止まりしており、キャッシュレス化を妨げているとの批判が高まっており、政府からも送金手数料の引き下げを求める声が上がっていました。最大手の三菱UFJ銀行のケースを調べてみると、振込手数料は3万円未満・他行宛ての場合、インターネットバンキングでも220円もかかりますし、ATMでカード利用の場合は275円、ATMで現金の場合は440円、窓口だとなんと660円だそうです。預金金利がほとんどない中で、自分のお金を振り込むだけなのに、このIT時代に、どうしてこんなに高い手数料を取られるのかと、消費者が不満に思うのは当然です。

 ようやく個人間に限っては、送金手数料引き下げに向けて重い腰を上げた銀行界。フィンテックと言う金融のIT化が進む中、このままの状態を放置すれば、決済という銀行が最も優位性を持つ分野ですら、〇〇ペイやデジタル通貨といった新参者に顧客基盤を奪われかねないという危機感が背中を押したと言えるでしょう。

(BS-TBS「Bizスクエア」 8月9日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局 解説・専門記者室長)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。