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TBS NEWS

2020年7月31日

コロナ感染が急増する中、深刻化する“コロナうつ”と対処法は…

[ TBS科学担当解説委員 齋藤泉 ]

新型コロナ感染が急増する中、“コロナうつ”になる人はますます増えて深刻化している。どのような悩みや不安が多いのか、どう対処したらいいのか。日本産業カウンセラー協会のシニア産業カウンセラーで公認心理士の伊藤とく美さんに聞いた。

〇 より深刻化する“コロナうつ”

コロナ感染が急増する中、以前よりも感染に対する不安は増している。

1か月前と比べて相談数は1.5倍程度になり、新規の相談者も多い。自分の会社の中でも感染者が出ているところもあり、コロナがより身近な存在になってきたのが要因。自分もいつ感染するかわからないという不安を持つ人が増えている。マスクを2枚つけても気が済まないという人もいる。

テレビなどで感染症の専門家の話を聞くとウイルスが変異していて治療法が難しい。自分で予防するしかない、といったネガティブな情報に触れることがあり、無力感を持つなどの相談がある。

〇 リモートから出社で仕事量も増えた

リモートワークは減り、依然のような出社するスタイルに戻っている。当然、通勤電車の中で感染するのではないかという不安は強い。職場では通常よりも人が少ないので出社した人の仕事量は増えてしまう。

昼休みの食事も以前は息抜きの時間だったが、人と離れて食事するため会話もなくなり、職場の雰囲気にも影響が出ている。また収束の見通しが立たないことで、契約社員や派遣労働者は雇止めになり将来が見えず生活に対する不安はより深刻化している。

メンタル面で支障がありリモートワークでなら仕事ができるようになった人もいたが、今は元に戻ってしまい自分では言い出せない状況になっている。

〇 リモートワークが続く家庭ではDVも

一方で会社や職種によってはリモートワークが続いている人も多い。父親が常に家にいることで、子供たちは色々と言われて干渉されるのが嫌だというケースも。といって友達の家に行くこともできない。逃げ場のない状態の人も多い。また父親と母親が喧嘩になり、そのやり取りを聞くのが辛いという相談もある。

過去にDVの被害にあった人は思い出してしまうことがあり、それで落ち込んでしまう。ほかにも夫の酒を飲む回数が増えて乱暴になった。どこかに避難したいという差し迫った相談もあるという。

〇 オンライン授業で学生は孤独に

大学生などはオンライン授業に困惑している。「レポートが上手く書けない」「1人だとだらけてしまい計画通り進まない」「分からないことを聞けない」などの相談が多い。また家では家族に気を遣って疲れる。アルバイトでシフトが少なくなり辞めさせられたという切実な声もあるという。

また小学生の方がダメージは大きいようだと伊藤さんは指摘する。学校再開と同時に登校を渋る子や欠席が続き不登校になる子もいるようだ。些細なことに「ごめんごめん」を繰り返すようになり適応的な生活ができなくなった子もいるという。

〇 1人で考え込まずに心の交流を

まず1人で考え込まずに、誰かと話をすることが大事。ウェブや電話などで話をして人間としてのやりとり、心の交流の場を持つようにする。辛さの中にいる自分に支配されていると感じたときは家の中で“大の字“になって(リラックスして)楽しいことを思い出してみる。ポジティブな連想をして心を休めるようにする。このコロナも必ずいつかは終息する。その時にどんなことをしようか、などと考えるのもいいのではないかと思う。

また伊藤さんは「焦りや不安などでつらいとき、自分の状況の視覚化してみる」ことも勧めている。

頭の中にあるいろいろな物事の整理のために、わからないこと、見えないものを書き出して全体像を把握すると、自分のひっかかっていたことや心配なことが見えて安心でき、前向きになれる。

1. 仕事や家事、イベントなど「しなければならないこと」と「したいこと」「したくないこと」について色を変えて紙に書き出す。
書いたことについて (1)何を (2)いつまでに (3)どのように (4)誰と (5)そのために必要なこと(材料や資料、手段・方法、費用など)を書き加える。

2. 全体を眺めて、時間軸で並べて優先順位をつけてみる。
今すること。今日中、今週中、今月など、今年、時間をかけてやることなどに色分けしてみる。

齋藤泉

齋藤泉(TBS科学担当解説委員)

経産省、文科省、外務省など10の省庁を担当。先端技術、ロボット、次世代エネルギー、情報通信など取材。東日本大震災後は福島第一原発の廃炉の現場取材を継続。趣味はジャズと映画鑑賞。合気道二段。