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TBS NEWS

2020年7月13日

今週の注目「バイデン氏、労働者層重視の経済対策」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 アメリカ大統領選挙の民主党候補であるバイデン前副大統領が製造業復活に向けた経済対策を発表しました。バイデン氏は、9日、激戦州の1つであるペンシルベニア州の金属加工施設で演説し、製造業の復活に向け、アメリカ製品の購入やインフラ整備、先端技術研究に対して4年間で連邦政府から7000億ドル、およそ75兆円を支出する経済対策を発表しました。アメリカ製品やサービスの購入に4000億ドル、5GやAIの研究開発に3000億ドルを充て、政府調達ではアメリカ製品を優先する「バイアメリカン条項」を厳格に運用するということで、バイデン氏は、この対策で「少なくとも500万人の雇用を創出する」と強調しました。

 また、バイデン氏は中国の不公正な貿易慣行を積極的に是正すると共に、医療分野などを念頭に、中国に製造を依存しない体制づくりに取り組む考えも表明しました。

 新型コロナの感染拡大後、遊説を自粛していたバイデン氏が、遊説再開に際して、こうした経済対策を発表したのは、大統領選を左右するいわゆる「ラストベルト」の労働者層を狙ったもので、トランプ大統領の岩盤支持層にくさびを打ち込む意図が鮮明です。その意味では、仮にバイデン政権になっても「労働者層の雇用重視」「アメリカ製造業の復活」、「対中強硬」という大きな流れには変わりはないということになります。トランプ大統領は早速、「バイデンは私の選挙運動を盗んだ」と皮肉ったほどです。

 では、同じ経済政策なのかと言えば、そうではありません。バイデン氏は、「トランプ大統領の関心は株式市場だ」、「私は労働者と中間層に焦点を当てたい」と違いを強調、トランプ大統領の巨額の減税を批判しています。具体的には、連邦法人税を今の21%から28%に引き上げる他、所得税の最高税率も37%から39.6%に戻す考えに変わりがないことを明らかにしています。

 大統領選挙まで4か月。減税や規制緩和を重視する現職のトランプ大統領と、財政による公共投資を重視するバイデン氏との、経済政策の対立軸が次第に明確になってきました。

(BS-TBS「Bizスクエア」 7月12日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。