NEWSの深層

TBS NEWS

2020年6月21日

同時検証「コロナ禍」の日々(52)「緊急事態宣言 全国解除」の裏側【その4】

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 5月25日夜の安倍総理の「緊急事態宣言全面解除」の記者会見は、約20分ほどの安倍総理の冒頭発言の後、記者の質問に移った。

 司会役の長谷川内閣広報官はいつものように「これから皆様から質問を頂きます。質問には、安倍総理と尾身(政府諮問委員会)会長に対応いただきますので、総理、会長におかれては、所定の位置に御移動願います。質問の内容によりましては、尾身会長から説明を頂くこともございますので、御了解をお願いしたいと思います」などと慣れた口ぶりで語った。

 そして、「質問を希望される方、その意思表示は発声ではなく、声ではなく、挙手でお願いいたします。私が指名をいたしますので、指名を受けた方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただいて、所属とお名前を明らかにされた上で質問をお願いいたします。それでは初めに、幹事社からの質問といたします。どうぞ」などと水を向けた。これもいつもと同じだった。

 幹事社の記者はマイクに歩み寄ると、「緊急事態宣言」の解除の理由などとともに「宣言下で、『検察庁法改正案見送り』や『黒川前(東京高検)検事長の辞職』など混乱があり、与野党から首相や森大臣のけじめを求める声があります。政治責任をどう負われるのでしょうか」と、水を向けた。

 これに、安倍総理は「あのおー黒川さんの辞任についてでありますが、黒川氏については、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものでありますが、その責任については当然、内閣総理大臣たる私にあります。御批判を真摯に受け止めながら、しっかりと職責を果たしていきたい」と両手を広げてあっさりと責任を認めた(ただ、「責任をとる」とは決して言わないのが「安倍流」なのだが)。加えて「森大臣におきましては、正に検察、法務省の士気をしっかりと高めて、信頼回復のために全力を尽くしてもらいたいと思っております」と左手でこぶしを作り胸の前に振りかざしたりしながら木で鼻をくくったような答弁で済ませた。

 そして、「また、私に与えられた責務は、この新型コロナウイルス感染症を完全に克服して打ち克ち、経済をしっかりと回復させていく。その間は、雇用と暮らしを守り抜いていくことが私の責任であろうと、こう考えています」とまた、こぶしを振り上げたりしながらもすました表情で語って見せた。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞