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TBS NEWS

2020年6月16日

同時検証「コロナ禍」の日々(47)「緊急事態宣言 一部解除」【その3】

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 「新型コロナの感染拡大防止」そして、「経済活動の回復」。安倍総理は5月14日の夜の総理官邸での記者会見で「緊急事態宣言」の39県での解除を表明したものの、相反するこの2つの狭間で苦渋の表情を見せた。おのずと、経済対策の説明は長くなっていったっけ。

 安倍総理は冒頭発言の途中、「社会経済活動を本格的に回復させる一方で、同時に、このウイルスの感染拡大を抑え込んでいく。これほど難しい作業はありません」と正面を見据えた。

 そして、「これまで以上にお一人お一人の御協力が必要となります。ウイルスとの暮らし」と語りながら両手を差し出し、「ウイルスが身の周りにいることを前提に、その感染リスクをできる限りコントロールしながら、いつもの仕事、日々の暮らしを取り戻す。新たな日常を、しっかりと時間をかけ、ある程度の試行錯誤も重ねながら、確立していく必要があります」と語りかけた。

 続けて「世界中、どこにもまだ、こうすれば大丈夫という正解はありません。長い道のりも覚悟する必要があります。だとすれば、その間も私たちの雇用と暮らしは何としても守り抜いていかなければなりません」と口を真一文字にして力を込め、「新たな日常への道のりを国民の皆様と共に、一歩一歩前進していく。そのためには、もう一段の強力な対策が必要である。そう判断いたしました」と語った。

 その具体策として、安倍総理は「先般の事業規模117兆円の補正予算(第1次補正予算25兆7000億円)を強化するため、政府として直ちに2次補正予算の編成に着手いたします。この後の政府対策本部で指示いたします」と両手を広げた(この第2次補正予算は31兆9000億円の過去最大のものとなった)。

 そして、「休業を余儀なくされている皆さんの暮らしを守るため、『雇用調整助成金』を抜本的に拡充します。1日8,000円余りが上限となっていた助成額を、世界で最も手厚いレベルの1日1万5,000円まで特例的に引き上げます」と左手を差し出して語った。

 そして、「世界的な感染の広がりには、全く終わりが見えません。世界経済がリーマンショックとは比較にならない、正に100年に1度の危機を迎えています。世界的な大企業すら大きなダメージを受けています」と力を込め、「そうした中で、連鎖倒産という事態は絶対に防がなければなりません。大企業から中堅・中小企業に至るまで、資金繰り支援の更なる充実に加え、必要があれば機動的に十分な規模の資本性の資金を投入することも可能とし、事業の存続を強力に下支えします」とまたもや口を真一文字に結んだ。

 続けて、左手を掲げ「中小・小規模事業者の皆様には、使い道が全く自由な現金を最大200万円お届けする『持続化給付金』の受付を今月1日から開始しています。手続きを徹底的に簡素化し、1週間後から入金をスタートしました。この1週間だけで8万件余りの中小企業・個人事業主の皆さんに、合計1,000億円を超える現金をお届けしています」と胸を張り、「月末の資金繰りを乗り越えていただくため、実質無利子、元本返済最大5年据置きの融資を実行していくことと併せ、一層加速していきます」と力を込めた。その後も「経済対策」の説明は続いたっけ。

 しかし、安倍総理が後から「目詰まり」と語るなど遅々として増えなかった「PCR検査」と並んで、この「給付」も結局は大幅に遅れることとなったのだ。

 「一律10万円給付」など「経済支援策」について、6月5~6日実施の日経新聞の世論調査で「遅いと思う」と答えた人が73%に上った。実際、記者会見で胸を張った「持続化給付金」は、11日の参議院の予算委員会では、5月1日に申請受付をした18万件のうち、5,000件が1か月以上たってなおも未支給であることを梶山経済産業大臣が明らかにし、「データの不備などがあり、再度やりとりをしているものがある」と苦し気な表情で答弁した。

 それだけでなく、事業の進め方自身についても再委託の在り方が不透明だと批判があがり、国会最終盤まで連日野党の激しい追及を受けることとなったのだ。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞