NEWSの深層

TBS NEWS

2020年6月14日

同時検証「コロナ禍」の日々(46)「緊急事態宣言 一部解除」【その2】

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 5月14日の総理官邸での安倍総理の新型コロナ感染対策の緊急事態宣言の39県での解除の表明の記者会見は、なんとも華々しいものではなくそのメッセージはなにやら自信なげなのだった。

 39県の解除表明の後、安倍総理は海外の例などをあげだした。

 「北海道では、2月下旬に独自の緊急事態宣言を出し、感染者を大きく減少させることに成功しました。しかし、3月半ばの解除後、2、3週間たったころから感染者が再び拡大傾向となりました。ドイツでも、行動制限を緩めた直後、感染者が増加に転じ、再びロックダウンをせざるを得なくなった地域があります。当初、抑え込みに成功したと言われたシンガポールでも、感染者が大きく増えました。韓国でも、先週、ナイトクラブで集団感染が発生したというニュースを御覧になった方も多いと思います」と、「第2波」への警戒を呼び掛けたのだった。

 そして、「気を緩めた途端、一気に感染が広がっていく。全てをかつてに戻した途端、あっという間に感染が拡大する。これがこのウイルスの最も怖いところです。これまでの努力を無駄にしないために、解除された地域の皆さんに3つのお願いがあります」と左右のプロンプターを眺めながら呼びかけた。

 「第一は、少しずつ段階的にということです。解除された地域の皆さんに、もはや外出自粛はお願いいたしません。それでも、最初は人との面会は避ける、電話で済むものは済ませるなど、人との接触をできる限り減らす努力は続けていただきたいと思います。解除された地域の中でも、県をまたいだ移動については、少なくとも今月中は、可能な限り控えていただきたい。段階的に日常の暮らしを取り戻していただくようお願いいたします」という。

 続けて、「第二は、前向きな変化はできるだけこれからも続けてほしいということであります。オフィスの仕事については、多くの皆さんの御協力によって、この1か月でテレワークが普及しました。改善すべきは改善しながら、この前向きな変化を今後も継続していただきたい。時差通勤などの取り組みも、混雑を避ける上で有効であり、是非これからも続けていただきたいと考えています」と力を込めた。

 そして、「第三は、日常のあらゆる場面でウイルスへの警戒を怠らないでいただきたいということです。こまめな手洗いを心がけていただくことはもとより、常に人と人の距離を十分に取り、密集は避ける。外出するときは必ずマスクを着用し、他の人との密接はできるだけ避ける。屋内より屋外で、密閉は避ける。専門家の皆さんが取りまとめた新しい生活様式も参考に、3つの密を生活のあらゆる場面で避けていただきたいと考えています」と言う。

 「特に3つの密が濃厚な形で重なる夜の繁華街の接待を伴う飲食店、バーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは、今後とも控えていただきますようにお願いいたします。いずれもこれまで集団感染が確認された場所であり、身を守るための行動を重ねてお願いいたします」と力を込めたのだった。

 しかし、呼びかけにもかかわらず、「夜の街」での感染は続いた。とりわけ新宿・歌舞伎町では、家賃などを考えれば営業せざるをえない「ホストクラブ」などが続出し、そこに行くお客がいて、(こういう時だと優してくれるとのお客のインタビューは悲しい)、感染者数は2桁が続いた。

 さらに具合の悪いことに「緊急事態宣言」の時間がたつにつれ、有権者の気持ちは離れていた。記者会見の後の週末、5月16、17日実施の朝日新聞の世論調査では「あなたは安倍総理は新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けて指導力を発揮していると思いますか、発揮していないと思いますか」との問いに、「発揮している」30%、「発揮していない」57%だったのだ。ほぼダブルスコアになっていた。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞