NEWSの深層

TBS NEWS

2020年6月13日

同時検証「コロナ禍」の日々(45)「緊急事態宣言 一部解除」【その1】

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 5月14日、この日安倍総理は緊急事態宣言の一部解禁を表明することになった。記者会館で総理会見が始まるモニターを眺めながら、これまでの出来事が走馬灯のようによみがえった。

 4月7日の緊急事態宣言から約1か月超だった。緊急事態宣言に先だつ「小中高校の一律休校」(2月27日)、3月の3連休を前にした総理記者会見での「公園に行こう」「学校再開」とのメッセージ、そして「桜の三連休」だった(今みるとここでの感染がどっと増えてて、残念)。

 後は、4月1日の「アベノマスク」の全家庭2個ずつ配布、4月12日の星野源さんの歌に合わせて、自宅でくつろぐ動画の投稿、「所得制限付きの一世帯30万円給付」の閣議決定後の「一律10万円給付」への変更と補正予算案の組み替え…。

 新型コロナの感染防止のために1社1人の代表などで、総理官邸の広いホールにがらんとした様子の会見場で、安倍総理は話し始めた。

 「本日、関東の1都3県、関西の2府1県、そして北海道を除く39県について、緊急事態宣言を解除することといたしました。 その判断については、今回、専門家の皆様の御協力を得て、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3つについて、具体的な数値なども含め、解除の客観的な基準を策定いたしました。2週間前と1週間前を比べ、新規の感染が減少傾向にあること。直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられていること。さらには、感染経路が分からない感染者の発生状況など、総合的に判断することといたしました」と力を込めた。

 続けて、「そして、こうした基準に照らし、39県については、いずれも、今後、徹底的なクラスター対策を講ずることで、感染拡大を防止できるレベルにまで抑え込むことができたと判断いたしました。重症者も減少するなど、医療提供体制も改善しており、検査システムも新規感染者の動向を適切に判断する上で、十分に機能していると考えます」とのことだった。カチャカチャと会見場にはパソコンの音が響いた。

 その中、安倍総理はプロンプターを左右に見やりながら、「残りの8都道府県では、感染者数の大きな減少に加え、人工呼吸器が必要となる重症者も、東京や大阪ではピーク時の6割ぐらいまで減少していますが、まだリスクが残っていると考えます。引き続き気を緩めることなく、外出自粛などに御協力をお願いいたします。地方への移動も控えていただきたいと思います」

 「1週間後の21日をめどに、もう一度、専門家の皆さんに、その時点で今回決定した解除基準に照らして評価いただき、可能であれば、31日を待つことなく、解除する考えです」と、東京都などと一緒に解除できなかったことが、いかにも残念そうに語った。

 「緊急事態宣言」と「自粛要請」によるアベノミクスの看板の「経済の疲弊」。「緊急事態宣言」の解除の場面なのに、「感染拡大対策」と「経済対策」。その狭間で、すっかりつかれているように見えた。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞