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TBS NEWS

2020年6月12日

新型コロナ感染への警戒続く中、熱中症シーズン到来!マスク着用での注意点は・・・

[ TBS科学担当解説委員 齋藤泉 ]

新型コロナウィルス感染症の対応で追われる医療機関。例年のように熱中症患者が救急搬送されたら、医療現場はますます混乱し、医療崩壊につながりかねない。しかし、感染予防のために引き続きマスク着用が求められ熱中症になるリスクも高い。どのようなことに気をつければいいのか?

〇 夏場のマスク着用で気をつけることは?

医療や福祉の専門家で作る「教えて!「かくれ脱水」委員会」は以下のような緊急提言を出して注意を呼びかけている。

マスク着用・外出自粛の日々で熱中症リスクが上がってしまっています。しかし本年は、春季に多くの方が外出自粛をしていたことから、汗をかいていない 、運動をしていない傾向にあり、暑熱馴化(身体の機能が暑さに慣れて、汗をかいて体温を下げる等の対処ができること)ができていなく 、筋肉量が減っています 。筋肉は身体に水分を貯めるもっとも大きな臓器なため、筋肉量が少ないということは保持できる水分量が少ないということ、すなわち、脱水になりやすい ともいえます。

また、常日頃マスクをつけて過ごしていることで、体内に熱がこもりやすくなってしまいます。常にマスクをしたままの人であれば、 口渇の鈍化(マスク内の湿度があがっていることで喉の渇きを感じづらくなる)傾向にある可能性もあり、 もともと喉の渇きに気づきづらい高齢者がますます気づきづらくなり、知らないうちに脱水が進み、熱中症となってしまうリスクも高まるかもしれません。マスクを外してはいけないという思いがあり、気づかないうちに水分補給を避けてしまうことも脱水の一因になりえるでしょう。

外出を自粛し1人で生活している高齢者ならばなおさら要注意。

高齢者で、人と接しなくなることは、誰も服装や温度の異常を指摘してくれません。そして、体調が悪くても発見も遅れてしまいますし、すぐに助けが来ることも難しいでしょう。

脱水は免疫低下にもつながり、ウィルス感染のリスクも上げます。

脱水症は免疫機能を落とします。鼻から肺までの空気の通り道である気道にはウィルスや細菌などの異物が体内に侵入するのを抑える気道粘膜や繊毛があり、それらがある程度潤っていることでその機能が発揮できます。侵入してきた異物を痰として外部へ運び出すために粘液が必要になるからです。また、脱水症だと、摂取した栄養素が造血細胞に届かずに、免疫能が低下する可能性があります。水分補給が足りていない、いわば脱水状態だと、ウィルス感染のリスクも上昇させてしまうことを心しましょう。熱中症にならずとも、脱水症はウィルス感染のリスクにつながるのです。

熱中症の症状とコロナ感染の症状は似ている!

だからこそ、熱中症であるという可能性を消しておくべき。身体がベタつく、だるい倦怠感がある、頭がフラつく、発熱、頭痛などという症状も起こすのが熱中症。実はこれらは新型コロナウィルス感染症の軽度の症状にもよく似ており、見分けるのは難しいかもしれません 。だからこそ、熱中症になる環境・生活を避けておけば、これらの症状の原因が熱中症ではなく、新型コロナウィルス感染症であるのではという可能性を早期に疑えることにつながります。一方で、PCR検査が陰性で自宅療養していたら実は熱中症であった、というケースが出ることも、できるだけ私たち自身で予防しなければなりません。

〇 夏場のクーラー使用でも換気は必要

暑いとクーラーをつけて屋内に籠もりがち。しかし、換気はした方が良い。「教えて!「かくれ脱水」委員会」に適切な対処法として「クーラーを強めにして、窓を開けるようにする。もったいないと思わないこと。また早朝や夜など涼しくなったときに、窓を開けて換気をするように心がけるように」と説明している。

〇 密でない屋外では基本的にマスク着用は不要

3密状態でない屋外でマスクを着用し、早朝や夜のジョギングでもほとんどの人がマスクをしている。新型コロナ感染症患者の治療にあたっている国立国際医療研究センターの忽那賢志(くつなさとし)医師は次のように話す。

「屋外では基本的にはマスク着用は不要だ。人混みや、周囲と十分な距離が取れない場合にはマスクをした方が良いかもしれないが、ジョギングなどですれ違うだけでは感染するリスクは低いため(もちろんゼロにはならないが)、熱中症のリスクを考慮すればマスクしないという選択肢が妥当かと思う。原則は屋内や交通機関ではマスクを着けましょうということ。メディアでも屋外でマスクを着けていない人を指して『マスクをしていない』とあたかも間違っているような報道をしているが、屋外では必ずしもマスクを着けなくてもよいという風潮にする必要があると感じている」

齋藤泉

齋藤泉(TBS科学担当解説委員)

経産省、文科省、外務省など10の省庁を担当。先端技術、ロボット、次世代エネルギー、情報通信など取材。東日本大震災後は福島第一原発の廃炉の現場取材を継続。趣味はジャズと映画鑑賞。合気道二段。