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TBS NEWS

2020年6月1日

今週の注目「コロナで雇用悪化、数字以上に」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 新型コロナウイルスの感染拡大による雇用への影響が急速に広がっています。

 厚生労働省が29日発表した4月の有効求人倍率は、前の月より0.07ポイント低下し、1.32倍となり、4年1か月ぶりの低い水準になりました。求職者1人に対して、まだ1以上の求人があるとはいうものの、去年の上半期には1.6倍以上だったことを考えると、激しい急落ぶりです。

 一方、同じ29日に総務省が発表した労働力調査によりますと、4月の完全失業率は、前の月より0.1ポイント悪化し、2.6%となり、2か月連続で悪化しました。去年12月には2.2%にまで下がっていましたので、失業率はジリジリと上がっています。

 失業率の悪化が0.1ポイントと聞くと、意外にたいしたことはなかったとホッとする方もいるかもしれませんが、それには「からくり」があります。失業率は失業者の数を労働力人口で割ったものですが、実は、分母である労働力人口が、この1か月で99万人も減るという前代未聞のことが起きているのです。不況時期には、そもそも職探しをあきらめ労働市場から退出する人が増える傾向がありますが、今回はこれに感染への恐れも加わって、そうした人が一気に出たと見られます。99万人のうち71万人は女性でした。サービス関連のパートタイムがなくなったとか、お子さんの学校がなくなり家にいなければならなくなったといったケースが含まれていることでしょう。このほか、若者や高齢者の労働力人口の減少も目立ちます。つまり、失業者は増えたけれども、労働力人口が大きく減ったので、失業率がそれほど上がらなかったというわけです。

 また、労働力調査では、いくばくかの賃金は受け取ったものの期間中に仕事をしなかった「休業者」の数字も明らかにされています。4月の休業者は前年同月比でなんと420万人も増え、597万人に達しました。休業者数はリーマンショックの時でも100万人程度で、597万人という人数、増加幅とも過去最大です。休業者は、現在は、失業にはカウントされていないものの、休業が長期化すれば失業にさらされる危険性が高いのです。

 こうしてみると、雇用の状態は表面に現れている失業率以上に深刻な状況であることがうかがえます。コロナショックの雇用への影響を最小限にとどめることが、経済政策の中で当面もっとも重要なことです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 5月31日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。