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TBS NEWS

2020年5月25日

今週の注目「消費者物価がマイナスに転落」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 コロナ拡大で消費者物価がついにマイナスに転落してしまいました。総務省が22日発表した4月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数で、前年同月比で、0.2%下落し、2016年12月以来、3年4か月ぶりのマイナスになりました。

 新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な需要減で原油安が進み、ガソリンが9.6%も下がった他、観光客の落ち込みで宿泊料も7.7%下落、イベント中止の影響で切り花も1.9%下落しました。また消費税増税に伴って幼児教育や保育の無償化が進んだことから保育料なども大きく下落しました。一方で、需要が高まったマスクは5.4%上昇しました。

 生鮮食品を除いた消費者物価指数は、去年10月の消費増税後は上昇率が大きくなっていましたが、今年に入ってからは上昇率が鈍り、ついにマイナスに転落したものです。コロナショックで、広範なモノやサービスの需要が大きく減ったわけですから、物価が弱くなるのは当たり前で、とりわけ日本の場合、原油安の影響を幅広く受ける構図となっています。安倍政権はデフレ脱却を掲げて、日銀の黒田総裁と共に、2%の物価上昇を目指してきましたが、もはや2%は「夢のまた夢」です。

 実は、コロナウイルスの感染拡大を受けて、日銀自身もすでに先月発表した展望レポートで、今年度は物価がマイナスになると見通しており、その意味では、想定の範囲内かもしれません。問題は、その先です。日銀は、いったん物価が下落しても来年度には再び上昇に転じるというシナリオを描いていますが、先行きは、コロナショックがどこまで響くかにかかっています。コロナショックは多くの人々の雇用や所得を傷つけており、所得の減少が更なる需要減、物価下落につながる可能性は、それなりに高いと言わざるを得ません。そうなれば再びデフレに逆戻りしてしまいます。

 ここ数年、物価は2%の目標には及ばないものの、「デフレではない」という居心地の良い世界にありました。今後、デフレに逆戻りすることがないかどうか、経済の体温である物価の動向に目が離せない局面に入ってきました。。

(BS-TBS「Bizスクエア」 5月24日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。