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TBS NEWS

2020年5月22日

同時検証「コロナ禍」の日々(29)「緊急事態全国拡大」と「一律現金給付」【その1】

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 4月16日に「緊急事態宣言」を全国に拡大した後、安倍総理は翌17日に記者会見に臨んだ。

 秘書官らを引き連れ、小さな「布マスク」をつけて紺のスーツ姿で広い会見場に現れた安倍総理大臣は、台の前に立つと向かって左わきに構えていたスチールカメラマンの方に向いてしばらくポーズをとり、その後、正面を向いた。

 そして、目の前の透明なプロンプターを見ながら、「『緊急事態宣言』を発出してから10日がたちました」と話し出し、食料品店、配送、高齢者の介護施設、保育所、電力やガス、水道の供給、ごみの収集・焼却、鉄道の運行、それぞれで働いている人たちを一つ一つ挙げ、「目に見えない恐ろしい敵との闘いを支えてくださっている、こうした全ての皆様に心より御礼を申し上げます」と少し頭を下げた。

 続けて、「人と人との接触を最低7割、極力8割削減するとの目標の実現に向けて、外出自粛の要請に応えてくださっている国民の皆様に改めて感謝申し上げます。事業者の皆さんにも在宅勤務を原則とするなど、多大な御協力を頂いています」と語った。

 そして、「しかし、1日当たりの新規の感染者数は、まだ減少には至っていません。東京都では、本日、過去最高の200人を超える感染者の報告がありました。大変厳しい状況です」と口を真一文字に結んだ。その後、「皆さんに改めてお願いいたします。どうか、外出を控えてください。できる限り、人との接触を避けてください。そのことが医療現場を守り、多くの命を守ることになります。ひいては、皆さんや皆さんの愛する人たちを守ることにつながります。全ては私たち一人一人の行動にかかっています」と力を込めた。

 そして、「昨日、緊急事態宣言の区域を7都府県にとどまることなく、日本全国へと拡大することといたしました。尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんから賛同を頂き、政府対策本部において決定したものです」と語った。

 その理由については「大型連休に先立ち、それぞれの地域で観光施設への休業要請も必要となるでしょう。人の流れを、人の流入を防ぐため、各地域が所要の緊急事態措置を講じることができるよう、今般、緊急事態宣言の対象を全国に拡大することとしました」という。

 ただ、その後「そのため、期間についてはこれまで同様、ゴールデンウィークが終わる5月6日までといたします。あと20日間、日本全体が一丸となってこのウイルスとの闘いを闘い抜いていく。全国の都道府県と手を携えて、皆さんの健康と命を守るため、あらゆる手段を尽くしていきたいと考えています」「今回、緊急事態宣言を全国に広げ、全ての国民の皆様に御協力をお願いします。感染症の影響が長引き、全ての国民の皆様が厳しい状況に置かれています。長期戦も予想される中で、ウイルスとの闘いを乗り切るためには、何よりも、国民の皆様との一体感が大切です」となにやら、「全国」とともに「一丸」とか「一体感」とかの「勇ましいフレーズ」が続くのだ。

 怪訝に思っていると、「国民の皆様と共に乗り越えていく。その思いで、全国全ての国民の皆様を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことを決断いたしました」と胸を張った。

 もともと別だった「緊急事態宣言の全国拡大」と「一律10万円給付」が合体した瞬間だった。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞