NEWSの深層

TBS NEWS

2020年4月28日

同時検証「コロナ禍」の日々(11)「聖火リレーのスタートに立ち会う」と…

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 そして、3月14日のコロナ感染拡大後2回目の安倍総理の記者会見は、いくつかの質問の後、今振り返るとなんとも痛々しいようなやりとりとなる。記者が「約4か月後に迫った東京五輪、そしてパラリンピックを計画どおりに開催できるとお考えでしょうか」「また、アメリカのトランプ大統領が言及された延期開催あるいは規模の縮小、中止となる可能性はあるのでしょうか」などと質したのだ。

 これに安倍総理は「我々、東京招致が決定した段階から、今年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、全力を挙げてまいりました」とあの東京五輪決定の日を懐かしそうにふりかえるのだ。そして「そのオリンピック・パラリンピックにおいては、アスリートの皆さんや観客にとって安全で安心な大会となるように、感動を与える大会となるように、正に日本全体、ワンチームとなって力を尽くしてきたところでありますし、現在も準備を進めています」と力を込め、「来週にはいよいよ聖火を日本に迎えることになりますし、私自身、26日には福島を訪れて、聖火リレーのスタートに立ち会わせていただきたいと考えています」とまで言い切って見せたのだ。

 そして、「IOCのバッハ会長は、予定どおり本年7月24日の開催に向けて、オリンピックの成功のために、我々は全力で努力すると発言をしておられると承知をしておりますが、また、このIOCとWHOは緊密な連携の下で状況を注視していると承知をしておりますので、我々としてはそうした方針の下で、IOCを含めた関係者と緊密に連携を取って対応していくことに変わりはありません」「また、トランプ大統領には、昨日、私からオリンピックの開催に向けて努力をしている旨を説明をいたしまして、大統領からは、透明性のある努力を評価するという発言がありました。その上で、オリンピックの成功に向けて日米で協力をしていくということでも一致をしたところ、緊密に連携をしていこうということでも一致をしたところであります」「我々としては、とにかくこの感染拡大を乗り越えて、オリンピックを無事、予定どおり開催したいと考えています」と滔々と語って見せるのだ。

 しかし、このわずか10日後の、24日のIOCのバッハ会長との電話会談で「1年程度の延期」が決まるのだ。結果を知っている今となっては、そのズレ具合に「この時はそう思っていたのだな」としか、かける言葉がないのだが。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞