NEWSの深層

TBS NEWS

2020年4月21日

同時検証「コロナ禍」の日々(6)続く「1、2週間が瀬戸際」

[ TBS政治担当解説委員 石塚博久 ]

 2月29日の安倍総理の記者会見から開けて、3月2日の月曜日は夕方から会社で朝番組のニュースの項目を差配する「泊り編集長」の準備をしながら、家で参議院の予算委員会の中継を見たっけ。野党、立憲民主党の福山議員が「小中高一斉休校」をめぐって総理に質していた。

 福山氏は「文科省の混乱は非常にすさまじいものがあると私も承っております。総理なんで政府の専門家会議から、この学校一斉休業、意見を聴取されなかったのか。専門家会議のメンバーからは諮問も受けていない、提言もしてない、科学的根拠も明確ではないとコメントされています。総理お答えください」と声を張り上げた。

 安倍総理は「専門家会議の皆さまとの関係においてご議論をいただいたところでございますが、専門家の皆さまからはですね、感染の拡大を防止することができると。まさに今がその感染を拡大防止できているかどうか、この1、2週間が正念場であり瀬戸際であるという趣旨のご発言がなされたわけでありまして、この1、2週間が極めて重要であると、こういうことでございました」と言うのだ。

 そして、安倍総理は「臨時休業の要請については直接専門家の意見を伺ったものではありませんが、現在の国内における感染拡大の状況についての専門家の知見によればこれから1、2週間が急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際となると、との見解が既に示されており大人のみならず子供たちへの感染事例も各地で発生し、判断に時間をかける暇がない中において、私の責任において判断をさしていただいた。こういうことでございます」と、「一斉休校」は専門家の意見を聞いたものではないと認めたうえで、「1、2週間が瀬戸際」だからと繰り返したのだっけ。

 午前に始まった質疑だったが、午後になっても「一斉休校」の議論は続いた。質問に立った立憲民主党の蓮舫氏は「この間ね、基本方針が出されたうえで、イベントとか、一斉休校とか、全部日替わり的に起きてくるんですよ、コロコロ。これは場当たり的だったという反省はおありですかっ」と声を張り上げた。これに、安倍総理は「日々状況は刻々と変わっていくわけでございます」。「今回専門家の皆様が感染の拡大を防ぐことができるかどうかということはこの1、2週間が瀬戸際であり、正念場であると…」などと、土曜日の記者会見で聞いた「1、2週間が瀬戸際」とのフレーズを繰り返していた。そんな様子に「やれやれ」と思いながら家を出て、会社に向かったのだっけ。この、「突然の方針転換」は今日に至るまで繰り返されることになったのだ。

石塚博久

石塚博久(TBS政治担当解説委員)

1986年、日本経済新聞社入社。大阪本社証券部、名古屋支社(愛知県警、名古屋市役所担当)を経て、90年から東京本社政治部。官邸クラブ(海部政権)、野党クラブ(社会党土井委員長、田辺委員長)、平河クラブ(自民党竹下派担当、92年竹下派分裂など)等を担当。
1996年TBS入社。政治部で新進党クラブ、平河クラブ(自民党橋本派担当)、外務省(田中真紀子外務大臣)等を担当。その後「筑紫哲也NEWS23」ディレクター、デスクを経て、「時事放談」を制作プロデューサーとして立ち上げ。現在、TBS報道局政治担当解説委員。
著作:「官僚」(共著)新聞協会賞受賞