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TBS NEWS

2020年3月30日

今週の注目「JFEスチール、川崎の高炉を停止へ」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 また高炉の火がひとつ消えることになりました。鉄鋼大手のJFEスチールは、27日、川崎市にある東日本製鉄所京浜地区の高炉一基を、2023年度をめどに休止すると発表しました。米中貿易戦争の影響などから鋼材需要が低迷しているためで、記者会見したJFEスチールの北野社長は「断腸の思いだ。よりスリムで強靭な会社を目指す」と述べました。これでJFEスチールの高炉は8から7へと減り、粗鋼生産能力は13%削減されることになります。あわせて設備の減損処理を行うことなどから、持株会社のJFEホールディングスは、20年3月期に1900億円の最終赤字に転落する見通しです。

 鉄鋼業界ではすでに、最大手の日本製鉄が呉製鉄所の完全閉鎖や高炉の追加休止を発表したばかりです。鉄鉱石を溶かして銑鉄を作る高炉は、製鉄所の中核設備で、現在には日本国内には25基ありますが、今回のJFEの発表で20に減ることになり、生産体制の縮小が一段と進むことになります。

 JFEの川崎の製鉄所は旧NKKの主力工場で、都心にも近いことから湾岸の高速道路から見たことのある方が多いのではないでしょうか。京浜工業地帯をまさに象徴する工場でした。一部の機能は残るとはいえ、そこから高炉の火が消えてしまうことは、時代の流れを感じさせる出来事に違いありません。

 今回の高炉休止の決定には、コロナショックの影響は、直接的には反映されていません。今後、コロナショックの影響で自動車や建築資材をはじめとする鉄鋼需要の落ち込み方によっては、日本の鉄鋼業界はさらなる生産縮小が迫られるかもしれません。鉄の生産が減るということは、極論すれば、あらゆるものの生産が減るということを意味しています。生産大国でなくなる日本は、どんな経済をめざすのでしょうか。

(BS-TBS「Bizスクエア」 3月29日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。