2020年3月2日
[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]
好調だった雇用情勢にまで新型肺炎の影響が出てきたのでしょうか。28日に発表された1月の有効求人倍率は、1.49倍と前の月の1.57倍から0.08ポイントもの急落となりました。有効求人倍率が1.50を下回るのは2年8か月ぶりのことです。
有効求人倍率は、仕事を探す人ひとりに対して何件の求人があるかを示す数字で、1人に対して1.49の求人があるのですから、水準としては依然高く、心配するレベルではないものの、以前は1.6を超えていたことを考えるとかなり落ちてきました。
1月は、企業が求人票を出す際の方式が変更になったため、その影響も現れているということですが、製造業や、宿泊・飲食業で新規の求人が20%以上減っており、新型コロナウイルスの中国での感染拡大の影響が、日本の製造業やインバウンド関連の雇用に影響を及ぼし始めていることがうかがえます。
日本経済は、「米中貿易摩擦などで生産や輸出が減速しても、消費や雇用は依然強い」と言われてきました。しかし、雇用にまで影響が出てきているのだとしたら、はっきりとした景気変調のサインでしょう。しかも、これは1月の数字です。武漢封鎖で一気に事態が変わったのは、1月は最後の10日間だけでした。事態が中国ばかりか日本など他国にまで波及した2月の数字がどうなるか、まして国内でのイベント中止や学校休校となると、この先が心配でなりません。
播摩卓士(TBS報道局編集主幹)
1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。