NEWSの深層

TBS NEWS

2020年2月25日

今週の注目「円売り進み、10か月ぶりに1ドル=112円台に」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 外国為替市場で円安が進み、20日のニューヨーク市場と翌21日の東京市場で一時、1ドル=112円台をつけました。1ドル=112円台まで円安が進むのは去年4月以来10か月ぶりのことで、いよいよレンジ相場から抜け出すかと市場関係者は身構えています。

 市場関係者が注目するわけは、円はこれまで長らく「安全通貨」と認識され、世界的なリスクが意識されると通貨・円が買われて円高になるという「市場の常識」があったからです。今、市場の関心は中国発の新型コロナウイルスの感染拡大に集中しており、なかなか収束のめどが見えないというリスクが強く意識され、株式市場も神経質な展開です。こうしたリスク回避姿勢が強まっているにもかかわらず、円が売られ円安になっていることから、「円は安全通貨」という位置づけが、もはや変わりつつあるのではないかとの見方が出ているのです。

 折しも、日本の10-12月期のGDPは年率換算でマイナス6.3%もの大幅減となり、年明け以降の新型コロナウイルスの影響を考えると日本の景気後退入りさえ意識され始めています。アメリカのメディアでは「アベノミクスの終焉」という文字も踊ります。西村経済再生相は、21日の会見で「アメリカ経済が堅調だという、いわゆる『ドル買い』だ」と述べて、「日本売り」との見方をひとまず否定してみせました。仮に、「日本売り」の兆候だとすれば、長期的には大きな懸念材料です。一方、構造的に円高になりにくくなっているということであれば、金融政策の選択の余地を広げることにつながる可能性もあります。いずれにしても、今回の円安局面、ドル円相場の構造が大きく変わる「潮目」になるかもしれません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月23日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。