NEWSの深層

TBS NEWS

2020年1月20日

今週の注目「ダウ3万ドルまで、あと650ドル」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 「噂で買って、事実で売る」というのは株式市場の有名な格言です。その意味で、米中貿易交渉の合意署名の後が注目されたアメリカの株価ですが、署名当日の15日に終値で初めて2万9000ドル台をつけ、翌日、翌々日も上昇と連日の最高値更新で、先週は終わってみれば、2万9348ドルと、史上初のダウ3万ドルまであと650ドルにまで迫りました。あと650ドルというと今の株価水準で言えば、わずか2%ですから、意外に早く達成するかもしれません。

 米中合意に期待する段階が終わり、次のフェイズに入っても株価が上昇しているのは、投資家の目がアメリカの実体経済の良さに向いているためで、先週も好調な小売売上高や住宅着工件数、金融大手の好決算に注目が集まりました。米中貿易摩擦で製造業の生産や輸出に影響があるとしても、アメリカ経済全体の中での割合を考えれば、雇用・所得が好調で消費も旺盛な限り、先行きに大きな心配ないという強気の見方です。

 その一方で、トランプ大統領就任以来、3年で4割も株価が上がったことを考えれば、中央銀行の緩和を背景にしたバブルではないかと心配する向きもあります。特に低格付け債や新興国など信用力に劣る主体の債務が大きく増えている点は、バブルの具体的な芽だと警鐘を鳴らす専門家もいます。

 確かに、株価の上昇が資産効果を通じて消費を加速させ、それが更なる株価上昇につながるという『株価中心の資本主義』には、違和感を覚える方も多いでしょう。「バブルはいつか必ず崩壊する」「バブルは崩壊するまで気づかない」というのもよく聞く格言です。

 それでも強気派は、「世界経済のありよう、資本主義のあり方が変わっているのだ」と唱えます。どちらが正しいのか、もちろん、後になってみなければ、わかりません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 1月19日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。