NEWSの深層

TBS NEWS

2019年11月20日

ニジェールの深層 編集後記

[ 報道局編集部 水口康成 ]

 南部ザンデール州取材では、取材対象を撮影する際、特に、子供、乳児に対しては親の撮影許可があっても、顔を出してはいけない、特定されてはいけないので正式な場所や名前も伏せる、身辺を推測できる情報の取り扱いに注意する、など約束事があった。まだ親と生活が送れている場合はよしとしても、病院内ではNGだ。その理由を国連職員はこう説明した。「ここに居る子供たちは自分の運命と闘っている」。

 心配事はつきない。この写真は雨上がりの町外れ。埋め立てていたのだろう土が洗い流され地中からむき出しになっていた。そこにまたゴミを持ち込んで積み上げていく。埋めるどころか積み上がっては雨期の洪水に流され、処理されないまま、他に流れ着いていくのだろう。何かを見ているようである。自然が売り物の一つになっているアフリカでありながら、その自然はすでに「毒されている」ようだ。広大な畑の中にある木々にも黒いプラスチックバッグが風に飛ばされ引っかかっている光景も珍しくなかった。人口爆発や水不足、食料不足、飢餓、干ばつ…これまで人々を苦しめる、人類の課題がそのまま置き去りにされ、さらに新たな問題が積み上がってきている。そして、それもまた、置き去りにされているようだ。

 再訪できるとすれば何年後だろう。その頃の人口はどうなっているのだろう、就学率は、識字率は、開発は、移民・難民は、そして児童婚は…。見れば待ったなしの状況だが、人口問題など社会問題に本格的に取り組みを始めたのが1984年といわれていることを考えると…。この国の「運命と闘う」のは誰か。すでに国の枠を超えて立ち向かわなければいけないところまで来ているのではなかろうか。

水口康成

水口康成(報道局編集部)

外信部、NEWS23、サンデーモーニングなど担当。
元従軍記者で、著書は「旧ユーゴ内戦の記録'91-'96」や「ボスニア戦記」など、このほか通信社や新聞社などに寄稿。
趣味:テラリウム
好きな食べ物:カイマックと蜂蜜を塗ったパン