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TBS NEWS

2019年11月11日

今週の注目「ケンタッキー知事選の衝撃」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 来年のアメリカ大統領選挙のほぼ1年前となる5日、アメリカ南部のケンタッキー州の知事選が行われ、民主党のビシア候補が共和党現職のベビン候補を破ったと勝利宣言しました。得票率は民主党ビシア候補49.2%、共和党ベビン知事48.8%と僅差で、共和党陣営は敗北を認めず、再集計を求めるとしています。

 保守地盤の強い南部ケンタッキーで民主党が勝つという大番狂わせは、共和党やワシントンの関係者に大きな衝撃を与えています。ケンタッキー州は前回2016年の大統領選挙では、トランプ大統領が民主党のヒラリー・クリントン候補に30ポイントもの大差をつけた州で、議会共和党の重鎮マコーネル上院院内総務のお膝元でもあります。しかも、知事選前日の4日はトランプ大統領が自らわざわざ応援に入り、主要産業である石炭関係者の支持を目当てに、二酸化炭素排出をめぐるパリ協定からの離脱通告宣言を現地で行うほどの力の入れようでした。

 11月第一火曜日であった5日は、他でも地方選挙が行われましたが、南部バージニア州の州議会選挙で民主党が25年ぶりに上下両院を制するといった事態も起きています。アメリカメディアによれば、ケンタッキーでもバージニアでも、都市郊外の大学卒業者、女性などの投票率が大きく上がり、彼らが軒並み民主党に投票したというのです。

 トランプ大統領の選挙戦略は前回も、今回も極めてシンプルです。自らの岩盤支持層である白人労働者層の強い支持を得させすれば、民主党が何を言おうと勝てる、というもので、今も批判はすべて「フェイクニュース」と切り捨て、せっせと岩盤支持層固めに動いています。ケンタッキー州知事選など今回の地方選の結果は、この戦略が果たして今回も機能しているのだろうか、という疑問を投げかけるものでした。いくら岩盤支持層が堅くても、郊外の中間層や女性が「トランプにノー」と声を上げ始めたら勝てないのではないか、というテーマを突きつけたわけで、関係者に大きな衝撃を与えたことは想像に難くありません。

 大統領選挙まで1年も前の今の時点で、どの戦略が正しいかは判断できません。しかし、都市郊外の大卒、女性の無党派的有権者の動向が選挙の勝敗に大きな影響を与えることは間違いなさそうです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 11月10日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。