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TBS NEWS

2019年10月21日

今週の注目「ウォーレン候補のセルフィーライン」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 来年のアメリカ大統領選挙に向けた野党・民主党の大統領候補選びで、左派で女性のエリザベス・ウォーレン候補の人気が急上昇し、支持率で一時、バイデン前副大統領を上回りトップに立つに至りました。集会の後には支持者らがSNS上にアップするための自撮り撮影のために長い列を作るという人気ぶりで、9月のある集会では最大4時間待ちになったそうです。ウォーレン候補は、この長い自撮りの列(セルフィーライン)に可能な限り時間を割いているということで、元ハーバード大学教授、消費者運動家といったお堅いイメージを変えて親しみやすさを演出すると共に、SNS拡散を通じた支持拡大にも貢献しているようです。

 その後、平均支持率の方は19日時点で、バイデン29.2%、ウォーレン23.4%(RCP調べ)と再逆転を許したものの、いくつかの世論調査では、依然ウォーレン候補が首位で、先日オハイオ州で行われた民主党の候補者討論会でもウォーレン氏が各候補の標的になる場面も見られました。これまで2位につけていたサンダース候補の健康不安もあって、民主党の候補者選びは、バイデンかウォーレンかという構図になってきました。

 恥ずかしながら、私自身はウォーレン氏がここまで伸びるとは思ってもみませんでした。ウォーレン氏が上院議員になったのはつい最近(2012)のことで、中央政界と縁遠い存在でしたし、大学教授で消費者運動家、左派で「反ビジネス」の女性候補は、一般的には大統領選挙では受け入れられないという先入観があったからです。現に今掲げている政策も、富裕層への大増税、最低賃金倍増、国民皆保険、大学無償化、巨大IT企業の分割・解体、シェールガス採掘禁止、グラス・スティーガル法(銀行証券の兼業禁止)の復活など、およそ「アメリカ的でないもの」が並びます。しかし、こうした主張こそが格差是正を願う若者や女性に支持を広げているのだそうです。

 前回2016年の大統領選挙で「忘れられた人々」に訴えかけ、「あっと驚く」トランプ大統領を誕生させたアメリカ。今回も驚くようなことが起きないと思わないほうが良いのかもしれません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 10月20日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。