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2019年10月3日

ユニセフ「需要急増」対応急ぐ【動画編】

[ 報道局編集部 水口康成 ]

 ユニセフ・ニジェール事務所が管理する倉庫では、支援物資の袋詰め作業が行われていた。子供の背丈ぐらいは有りそうな袋をまず半分だけ上げて、ござや水を入れるタンクなどを詰める。


 最終的にはロープやバケツ、ビニールシートなど生活物資を詰め込んで完成する。1セット作るのに要する時間は5分程度。3人が一組になって、手際よく息を合わせて袋詰めを続ける。

 この1セットで1家族7人分。値段にして150米ドル(およそ16500円)相当で、輸送費を入れると170米ドルになるそうだ。これをニジェール政府からの要請や、国連の判断で難民キャンプなどに運び込む。

 こうした支援物資の需要が急増していることに対応する為、ユニセフでは支援物資のセットを「増産」している。この日は500セット程度「増産」計画。対応に備えてはいるが、担当者は頭を抱える。「周辺国の難民支援を充実したいが、支援計画を上回る速さで難民の流入が続いている。もともとのプロジェクトの予算ではまかないきれなくなる」。ニジェールは難民・移民の一時滞在「トランジット・カントリー」と呼ばれる。ここで「トランジット」している人々はさらにヨーロッパを目指し移動を始めたり、各国の正式な「難民」としての受け入れなどを待つ。だが先を急ぐ、もしくはブローカー任せで移動を始めても、運よくたどり着く人もいれば、砂漠を歩く途中死んでしまう人、誘拐されてしまう人、強制送還される人…命がけの移動になってしまう。そのため、こうした難民・移民への支援は一刻を争っている。それは決して先を急がせるためでも、ヨーロッパに送り届けるためでもない。危機にさらされる家族、母子、そうした命を守るために他ならない。

 難民問題で混乱するヨーロッパ、そのヨーロッパに向かう機会を待つ人々がニジェール経由で地中海を渡ろうと進み、ここニジェール南部ザンデール州からも、アルジェリアやリビアを目指し流出している。2019年4月以降、アガデス州やディファ州などでは、難民・移民の流入が激しくなっている。ニジェールは様々な形態の移民・難民の合流地点でもあり、国内からも難民を生み出す根源ともなっている。現地の国連の職員は、政情不安や、テロが続発する国々に取り囲まれ、そこから難民が流入してくるにもかかわらず、内戦も何も起きていない、そんな状況を「西アフリカの台風の目(無風状態)」と表現した。自らが抱える社会問題もある中、果たして「無風状態」であり続けることは出来るのか。私の目には社会問題が膨張し「無風」に見える場所が膨張しつつけているようだった。

水口康成

水口康成(報道局編集部)

外信部、NEWS23、サンデーモーニングなど担当。
元従軍記者で、著書は「旧ユーゴ内戦の記録'91-'96」や「ボスニア戦記」など、このほか通信社や新聞社などに寄稿。
趣味:テラリウム
好きな食べ物:カイマックと蜂蜜を塗ったパン