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TBS NEWS

2019年9月2日

今週の数字「マイナス0.290%」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 東京債券市場で29日、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りがマイナス0.290%まで下がり、2016年7月以来となる3年1か月ぶりの低い水準になりました。満期まで持てば利子ではなく、0.29%分損をするという価格ですから、本来あり得ない数字で、日本国債としては、この2016年につけたマイナス0.300%という過去最低水準に迫る勢いです。

 これは米中貿易摩擦の泥沼化などを受け、金融市場で投資家が一段とリスクオフになり、より安全な資産に資金が流れるという動きが強まっているためで、長期金利はドイツ国債がマイナスとなっている他、アメリカ国債も低い水準になって長短金利が逆転する「逆イールド」といった現象まで起きています。金融市場の変調を示す兆候と言えるでしょう。

 そうした不透明さを払しょくし、今後の景気を下支えする意味でもアメリカとヨーロッパの中央銀行は利下げ局面へと突入しているわけですが、日本はこれ以上金融緩和する余地が小さく、今月半ばの金融政策決定会合で何らかの緩和策が打ち出せるかが焦点となっています。

 日本銀行は長期金利をゼロ%、短期金利をマイナス1%にする長短金利操作を行っています。長期金利の基準はゼロ%ですが、上下0.2%程度までは変動は認めるとしていました。今回、マイナス0.290%になったということは、マイナス0.2%を超える変動を放置して認めていると解釈できます。その意味で日銀は事実上、すでに更なる緩和を行っていると言っても過言ではありません。残る有力なカードは短期金利に適用しているマイナス金利の深掘り、つまりマイナス幅をさらに拡大するぐらいしかありません。このカードは円高がかなり進まない限りは切れないだろうと見られています。今月はアメリカを筆頭に各国の金融政策に注目が集まる月になります。

(BS-TBS「Bizスクエア」 9月2日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。