NEWSの深層

TBS NEWS

2019年8月30日

ニジェールの深層「児童婚」

[ 報道局編集部 水口康成 ]

 両親に挟まれる形で座っている女の子。この村にある児童婚撲滅を目指して作られた委員会の説得で、児童婚から逃れられた実際の成功例だ。父親が決めた男性は17歳。その男性との強制結婚に向け、学校も退学させられた。中学2年生の時のことだった。それでもこの女の子は、「児童婚回避の劇」を見て、いくら父親の言い分と言っても、断っても良い、拒否しても良いと悟ったそうだ。そして、「父親が決めた相手と結婚したくない」と、委員会に申し出た。母親も理解者だった。

 母親は夫に何度も児童婚はやめようと申し出たものの、そこは「男尊女卑」の世界、とうとう口も聞かないほどの対立になったそうだ。夫の言い分は絶対だが、説得に乗り出した委員会が「児童婚が招く問題」を説明した事が功を奏し、父親は児童婚をあきらめた。よく言うと「理解した上で撤回した」ということになる。そして改めて家族一緒の生活が始まり、母親はご覧の通り笑顔が絶えない。 一方の父親は・・・

 けげんそうな、それでいて私達を警戒するような表情で、質問に答えてくれた。児童婚を勧めた理由について、「嫁に出せば結納に当たるお金や食料がもらえる」貧困となれば想像はつく話だ。さらに「嫁に出せば食べさせていく人数が減る」とやはり経済的な理由を口にする。

 以前取材したヨルダンのシリア難民の間でも、地元の高齢男性との児童婚が急増していてユニセフは対応を急いでいた。同じように結婚させれば結納金がもらえるといった経済的な理由が主なものだったが、難民キャンプから出ることができない、先の見えない生活の中で子供の将来を案じて、なんとか、すこしでも自由を手にして欲しいという、切なる親心ものぞかせた。

 ニジェールはどうか。聞けば貧困が生んだある問題のために結婚を「急ごう」としていた。貧困と児童婚にどのような関係があるのか、そこにもニジェールが抱える問題の深層がある。

 こうした問題について、ザ・フォーカス(9月15日放送)での放送を予定しています。詳細決まり次第、改めてお知らせします。

水口康成

水口康成(報道局編集部)

外信部、NEWS23、サンデーモーニングなど担当。
元従軍記者で、著書は「旧ユーゴ内戦の記録'91-'96」や「ボスニア戦記」など、このほか通信社や新聞社などに寄稿。
趣味:テラリウム
好きな食べ物:カイマックと蜂蜜を塗ったパン