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TBS NEWS

2019年8月12日

今週の数字「1ドル=7元」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 米中貿易交渉が暗礁に乗り上げ、トランプ大統領が第4弾の制裁関税を発表した事を受けて、5日の上海外国為替市場では中国の通貨・人民元安が進み、ついに長年の壁と見られていた1ドル=7元台まで人民元が下落しました。リーマンショック後、これまでも元安局面はありましたが、7元まで下落したことは一度もなく、1ドル=7元はまさに壁と見られていました。それがあっさり破られたことで、中国当局が元安を容認していると受け取られ、アメリカ政府は同日、中国を「為替操作国」に指定し、貿易戦争の戦線が為替にまで拡大することになりました。

 中国の人民元相場は、中国人民銀行が毎日決める基準値の上下2%の範囲内で市場価格が決められる仕組みになっていて、8日にはこの基準値自体も、11年ぶりに1ドル=7元台となり、中国当局の元安容認姿勢を裏付けています。

 貿易摩擦で輸出が不振の中国にとっては、元安は価格競争力を生む「恵みの雨」、まして対米輸出では25%もの制裁関税を課せられ、市場価格が値上がりしている商品もあるだけに元安で少しでもチャラにしたいところです。

 その一方で、責任ある大国になったのに為替安を誘導することは国際的な批判の的になりますし、そもそも急速な元安は、数年前に見られたように「資本流出」を招きかねません。資金の対外流出は中国当局にとっては避けなければならないことです。それでも中国が1ドル=7元を容認したのは、アメリカと徹底的に戦うという意思表示に他なりません。

 アメリカの課す制裁関税を全部チャラにするには7.3元までの下落が必要といった声も出ているほどで、人民元がどこまで、どの位のスピードで下落するかは、円を含めた他の通貨にも影響を与えるという意味でも、大きな注目を集めることになります。

(BS-TBS「Bizスクエア」 8月11日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。