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TBS NEWS

2019年7月26日

ミレット作り始まる

[ 報道局編集部 水口康成 ]

 ニジェールの主要な食料にミレットがある。丸い豆のようなものだ。6月下旬、雨季が本格的に始まるのを前に、あちこちで地面に等間隔に穴を掘る姿が見られた。ニジェールでは人口の8割が地方に住んでいて、殆どが農業に従事しているそうだ。

 自分の土地の境界をどうやって認識しているのかは分からないが、本人達は「石や木が目印」といっていて絶対に間違えることはないと言い切る。これから雨季が来るまでに種まきを終え、乾季の収穫時期を待つそうだ。ミレットなどは農家の重要な収入源で、収穫後は小屋のような籠に入れて乾燥させるそうだ。写真のおくに見えるが分かるだろうか。

 ところでこのミレット、実に硬い。料理に使えるようにするには時間と労力が必要だ。ウスと「ピロン」というキネを一セットにしてモルティエと呼ばれる道具を使うが、ピロンは大人でも重いと感じる。これを高く振りかざして一気に振り下ろす。これを繰り返して豆が粉になっていく。重さも重要なのだろう。

 一方、粉砕機のようなもので一気に粉にする村もある。オイルで製造国は見えないが、JUMBOと書かれているところを見るとケニア製だろうか?ベルトは緩々で大きく波打ちながら、次々と粉を吐き出していく。

 できた粉は待ち受けていた女性達がさらにふるいに掛けて、仕分けして、水を加えながらすこし練っていた。どうもミレットだけではなくほかの穀物も処理しているようで、粉の中には黄色いものもあった。とうもろこしだろうか。

 粉引き作業はにぎやかである。女性達がわいわいやりながら食事の下ごしらえ。灌漑が難しい土地だけに、農業への投資や開発は目に付かない。穴を掘っては埋める。雨を待つ。乾季がきたら農作業、昔ながらの方法が続いているが、たとえば収穫量が一定で、村人だけがどんどん増えたとすると、一人当たりの収穫量は減少の一途をたどることになる。農地面積が変わらないまま人口爆発を抱えるニジェール、世界の食糧危機を予見しているようにも見える。まだ大丈夫、もう無理、いずれにしても対応を迫られているのは我々である。

水口康成

水口康成(報道局編集部)

外信部、NEWS23、サンデーモーニングなど担当。
元従軍記者で、著書は「旧ユーゴ内戦の記録'91-'96」や「ボスニア戦記」など、このほか通信社や新聞社などに寄稿。
趣味:テラリウム
好きな食べ物:カイマックと蜂蜜を塗ったパン