NEWSの深層

TBS NEWS

2019年6月17日

今週の数字「52.28ドル」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 安倍総理大臣がイランを訪問中の13日、ホルムズ海峡付近のオマーン湾で日本の海運会社が運航するタンカーなど2隻が攻撃を受けるという衝撃のニュースが入りました。これを受けた同日のニューヨークの原油先物市場では、指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)の終値が1バレル=52.28ドルと、前日より1.14ドル値上がりしました。率にすると1日で2.2%の上昇ですので、中東からの原油供給への懸念をそれなりに反映した形です。

 もっともWTIは、去年は70ドルを超えた時期もありますし、さかのぼれば100ドルを超えていた時期もありますから、水準で見ればそれほど心配する価格ではなく、市場関係者の間でも、供給不足による原油価格の急上昇を心配する声はほとんど出ていません。その背景には、今回の出来事は依然わからないことが多く、直ちに大規模な戦闘に発展するとは見えないこと、そして何より、このところ原油需要そのものが世界経済の先行き不透明感から大きく減退していることがあげられるでしょう。

 そうは言ってもホルムズ海峡が、世界のエネルギー供給の3割、日本の原油供給の8割が通る『生命線』であることに変わりありません。また原油市場がちょっとしたことで1バレル=30ドル台から100ドル超えまで、大きく振れる市場であることも事実です。今回の事件も、アメリカがイランの関与を公言する一方、イランは全面否定するなど、事実を確定するにはまだほど遠い状態です。世界経済にとっては、米中貿易戦争や世界的な景気減速、イギリスのEU離脱などに加え、さらに不透明な要素が加わったことだけは間違いありません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 6月16日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。