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TBS NEWS

2019年5月13日

今週の数字「30兆2256億円」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 トヨタ自動車が8日、2019年3月期の連結決算を発表しました。売上高は世界販売の拡大を背景に30兆2256億円と前期に比べ2.9%増え、日本企業として初めて売上高が30兆円を超えました。中国やヨーロッパ市場で自動車販売が好調で、本業のもうけを示す営業利益も2兆4675億円と2.8%増の増収増益でした。

 30兆円というとイメージしにくいかもしれませんが、国の予算でみると1年間の社会保障費は33兆円です。政策的経費である一般歳出が59兆円、その半分より多い額。防衛費が5兆円、公共事業費が6兆円弱と言えば、30兆円がいかに大きな額かわかりますね。

 注目の2020年3月期の業績予想では、売上高が30兆円とほぼ横ばいを見込むながらも、営業利益は3.3%増の2兆5500億円と今期も増益を見込んでいます。世界経済の成長鈍化や米中貿易摩擦など世界経済の先行きに下方リスクが意識される中、トヨタが減益ではなく増益見通しを示したことで、市場関係者はとりあえずホッとしたと言ったところです。

 今期の想定為替レートは1ドル=110円と前期比1円の円高を見込んでいます。売上横ばい、為替は円高でも増益見通しですから、その分、製造原価の低減に一層取り組むという決意の表れです。豊田章男社長は、自動車業界の大変革期をにらんで、「『トヨタは大丈夫』と思うことが危険につながる」と記者会見で手綱を引き締めました。

 もっとも世界の自動車販売は環境に大きく左右されます。こうした見通しは、世界の2大自動車市場であるアメリカと中国の経済が大きく崩れないという前提です。トヨタだけでなく世界中が米中貿易交渉の行方を、固唾を飲んで見守っている所以です。

(BS-TBS「Bizスクエア」 5月12日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。