NEWSの深層

TBS NEWS

2019年4月22日

今週の数字「14.1%」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 日銀は17日に公表した金融システムリポートの中で、去年10-12月期の日本の金融機関の不動産業向けの貸出残高が対GDP比率で14.1%となり、長期のトレンドから乖離した『過熱』状態にあると指摘しました。不動産業向け貸出が『過熱』とされるのは、バブル期の1990年以来のことです。不動産業向け貸出は、2013年のアベノミクスによる異次元緩和以来、急増しており、このところ新規融資にはブレーキがかかったものの、長期のものが多いため残高は78兆円を超え、過去最高の水準です。

 バブル期が不動産取引のための融資が中心だったのに対し、最近は賃貸業向けの貸出が増えているのが特徴で、とりわけ地方銀行での不動産業向けの比率が高くなっていて、総貸出の3割が不動産業という金融機関もあるということです。賃貸業と言えば、アパート経営に代表されるように、超低金利時代に安定した家賃収入を見込んで、という例が目につきますが、人口減少時代で空き家も増える中、こうした投資や銀行の貸出姿勢が持続的なものなのか、注意が必要でしょう。

 地方の銀行にとっては、人口減と低成長によって資金需要が細っている結果として、不動産業向け貸出の割合が増えているという面もあります。同じ日銀のリポートは、企業の資金需要(借り入れ需要)が今のペースで減っていけば、10年後の2028年度には地方銀行の58%が最終赤字に陥ると試算しています。恐るべき試算です。銀行が立っていられない世界は、その地域の経済が立っていられない時代ということです。不動産向け貸出の『過熱』は、苦しい銀行経営の裏返しのように見えます。

(BS-TBS「Bizスクエア」 4月21日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。