NEWSの深層

TBS NEWS

2019年3月18日

今週の数字「737」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 ナナサンナナと読めば、何の話かおわかりでしょう。小型旅客機のベストセラーであるアメリカ・ボーイング社の737、その新型機である737MAXの運航禁止措置が今週、世界中に広がりました。この最新鋭機、去年10月にインドネシアのライオン航空で、今月10日にエチオピア航空でいずれも離陸直後に墜落事故を起こしていて不安と疑念が広がっていました。

 当初、ボーイング社は「航空機に問題はない」という立場でしたが、最初に何と中国が運航禁止措置に踏み切り、次いでシンガポール、ヨーロッパと拡がり、ついに13日におひざ元であるアメリカも当面運航禁止としました。すでに世界で370機が運航されており、航空各社は違う機材での運航を余儀なくされています。ちなみに日本の航空会社で737MAXを運航しているところは、現在はまだありません。仮に不具合があって回収が必要になれば、その費用がかさみますし、新素材を使って燃費を大幅に改善した737MAXは現時点で4600機もの大量の受注を獲得していますので、今後、出荷や生産に影響すれば、ボーイング社の経営に与える影響は甚大です。

 ボーイングはアメリカの株式市場では、いわゆる「値がさ株」、つまりダウ平均などインデックスへの影響が大きい銘柄です。先週、ボーイング株は1割も下げる局面があり、全体の足を引っ張りました。今後も業績不安が意識されると市場の重石になりそうです。

 また737MAXは、中国の航空会社も大量に発注しているので、納期が大きく遅れると米中の貿易収支にも影響を与えかねません。航空機は額が大きいので80年代90年代の日本でもアメリカとの貿易摩擦が激しくなるごとに、いわば貿易黒字削減の切り札として航空機輸入というカードが使われました。安全が第一の関心事であることに変わりはありませんが、経済や国際関係にも波紋が広がるできごとです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 3月17日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。