NEWSの深層

TBS NEWS

2019年2月11日

今週の数字「1.9%→1.3%」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 EU(欧州連合)は7日、今年=2019年のユーロ圏の実質成長率を、昨年11月時点の予想1.9%から1.3%に、0.6ポイントも下方修正しました。米中貿易摩擦や中国の景気減速による影響が予想より大きいためで、ヨーロッパ経済の先行きに不透明感が広がっています。先週後半、アメリカの株価が大きく下げましたが、その理由の1つがこのデータ、ヨーロッパ経済の先行き不安でした。

 中でも、けん引役のドイツが自動車生産の落ち込みから1.1%へと0.7ポイントもの下方修正、フランスが黄色いベストによる反政府デモの影響で0.3ポイント、ポピュリスト政権による財政不安が広がるイタリアにいたっては1.0ポイントもの大幅な下振れです。とりわけドイツは中国輸出への依存度が高いので中国経済の行方次第でさらに落ち込む可能性も指摘されています。これにイギリスのEU離脱騒動が加わわり、ヨーロッパ経済の不透明感は増すばかりです。

 ECB=欧州中央銀行は、昨年12月に国債買い入れなどの量的緩和を終了し、今年夏以降には金利の引き上げを模索するシナリオでしたが、相当怪しくなってきました。アメリカに続いて欧州も正常化へ、という昨年までの中銀関係者の期待感は、アメリカの利上げ打ち止めと、予想外に振るわない欧州経済によって打ち砕かれつつあるといえるでしょう。

 ECBのドラギ総裁は、「直ちに緊急事態になるわけではない」としながらも、将来の量的緩和再開の可能性にも言及しました。金融正常化のかけ声すらかからなかった日本では、日銀には切れるカードがないままです。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月10日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。