NEWSの深層

TBS NEWS

2019年2月4日

今週の数字「74か月」

[ TBS報道局編集主幹 播摩卓士 ]

 政府は、1月の月例経済報告で、2012年12月を起点とする今の景気拡大が74か月=6年2か月続いており、戦後最長となった可能性があると発表しました。これまでの最長記録は、2002年2月からリーマンショック前の2008年2月までの73か月の「いざなみ景気」でしたので、それを超えたというわけです。「いざなみ景気」といわれてもピンと来ませんよね、私もいつそんな名前がつけられていたのか知りませんでした。当時は「いわゆる戦後最長景気」という言い方でしたし、長い割には期間中の経済成長率がわずか1.6%と余りに低く、「かげろう景気」とか「リストラ景気」なんていう陰口もたたかれたものです。それを期間で超えたという今回の景気拡大、期間中の成長率は、さらに低い1.2%ですから、好景気の実感がないというのは当たり前です。

 ちなみに期間第3位の「いざなぎ景気」(65年11月~70年7月)は高度成長期で11.5%もの成長率、ご存知「バブル景気」(86年12月~91年2月)は5.3%ですから、当時を知っている人から見れば、さぞ物足りないことでしょう。

 第2次安倍内閣の発足と同じ月に始まった今回の景気拡大は、超金融緩和と円安を機に、財政の大盤振る舞いを加えて、企業収益や雇用者数の増大をもたらしました。その一方で生産性、ひいては賃金の伸びは低く、最長の景気拡大にもかかわらず、財政状況はさらに悪化し、マイナス金利のままの状態です。要は、次に来るであろう景気の悪化の際に、財政出動や金融緩和の余地がほとんどないというわけで、備えが全くできていないのです。

 毎月勤労統計の不正問題では、2018年の賃金の伸び率が大きく下方修正されたことから、2018年は物価上昇を差し引いた実質ではマイナスだったのではないかという点が国会で論議の焦点になってきています。「戦後最長景気」で実質賃金マイナスなんて、笑い話のような世界ですね。今の景気に名前がつけられるのはまだ先の話ですが、神話の神さま達も、「私の名前を使うのはご勘弁を」と辞退したいところかもしれません。

(BS-TBS「Bizスクエア」 2月3日放送)
播摩卓士

播摩卓士(TBS報道局編集主幹)

1984年入社 報道局で経済全般、日米関係、国際政治などを取材。夕方のニュース番組やNEWS23編集長、経済部長、ワシントン支局長、NEWS23キャスターなどを経て、現在、BS-TBS「Bizスクエア(日曜午後9時)」キャスター。