新型コロナウイルス情報 #TBS生活防災

#TBS生活防災note ※「関連リンク」は外部サイトに移動
9月22日
コロナ闘病に7か月、2週間の旅のはずが…家帰れず病院を転々

「こんなになるとは思ってなかった」

夫婦水入らずでの楽しい2週間の船旅のはずが、旅先で新型コロナに感染した男性。その後病院を転々としながら、7か月もの闘病生活を強いられました。厳しい、コロナ治療の現実です。

足下を確かめるように、慎重に踏み出された一歩。愛知県に住む71歳の男性は新型コロナに感染し、“4つの病院”で治療を続けてきました。自宅に戻ったのは、実に“7か月ぶり”のことです。

「こんなになるとは思ってなかったですね。時間を戻してくれるのなら、その時点まで戻してもらったらいいのかな」(男性)

その闘いは、あのクルーズ船から始まりました。

今年2月、横浜港に帰港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。男性と妻も、その乗客でした。旅行好きの夫婦にとってクルーズ船の旅は10数回目。香港、ベトナム、台湾などをめぐり、16日間の観光を満喫していました。しかし、船内では“異変”が起きていたのです。

「本船、ダイヤモンドプリンセスで過ごした乗客が2月1日にコロナウイルス陽性と診断されたことがわかりました」(船内アナウンス)

新型コロナの集団感染が発生し、乗客乗員723人が感染。男性と妻の陽性も判明しました。2人は搬送されましたが、着いた先は、なんと横浜から200キロ以上も離れた“長野県”の病院でした。首都圏の病院にはコロナ患者を受け入れる空きがなかったのです。

「持って行けるのは自分の手荷物ひとつ」(男性)

「車に乗ってから『長野』と言われて。『長野?遠いな』と思いました。私途中で降りたくなりました」(妻)

さらに入院から5日後、不整脈などの持病もあった男性は、容態が急変。長野県の病院では対処できなくなり、今度は群馬県の病院へと、一人、転院を余儀なくされます。

当時、治療にあたった医師は。

「人工呼吸器で治療をしても反応が乏しく、坂道を転げ落ちるように急激に状態が悪くなっていった。人工呼吸器ではもう手におえないような状況」(前橋赤十字病院 高度救命救急センター 鈴木裕之医師)

群馬県の病院で、男性は「ECMO」=人工心肺装置につながれます。

「(夫の容態を)あとから聞いて、本当に震えました。(夫に)もう何回も危ないときがきて、親族に電話するようにと(子どもが)言われて電話したそうです」(妻)

生死をさまよった男性。1か月後にようやく意識を取り戻した時、初めて、妻とは別の病院にいることを知りました。

「『ここはどこだ?』という状況でした。妻が元気だということを聞いて、ほんとに良かったなというのが正直な気持ち」(男性)

ちょうどこの頃、妻は無事退院。男性も2回続けてコロナの陰性が確認されました。

しかし、男性を予期せぬ事態が襲います。これは男性の脳のCT画像。白っぽく見える部分は、脳の血管が破け、出血したことを表しています。「頭蓋内出血」です。ECMO治療を続けたときに起きる、合併症の可能性があるといいます。左半身には麻痺が現れました。

「左腕と左膝から下の足。特にかかとから先は全く感じない、動きもしないという状況だった。先生から聞いたのは、非常に長くリハビリをしないと症状は改善しないぞと」(男性)

男性は愛知県内の病院で経過をみた後、さらにリハビリ専門の病院に転院。懸命に体を動かしました。体重は14キロも落ちていました。

「その時初めて主人を見ましたけど、別人でしたから、一瞬ちょっと・・・主人じゃなかったですね。自慢の黒い髪の毛も白くなってましたし、いかにコロナと闘っていたのかなと思って・・・」(妻)

そして先月、ようやく自宅で過ごす許可が下りました。16日間の船旅に出たはずが、7か月もの月日が流れていました。

「つらい7か月でしたね。つらくて厳しい。本当に厳しかったですよ。つらい日々でしたねずっと」(男性)

苦しい闘病生活を支えたもの。感染防止のため、面会が禁じられていた病室に届いた息子からの手紙です。

「不安で辛い日々だよね。元気になったらお父さんとお母さんと家族全員そろって旅行に行こう。約束だよ。絶対に行くからね」(息子からの手紙)

「嬉しかったですし、えらいときはまた読んでました。やっぱり家族の力は強いです」(妻)

男性はいまも器具や、杖なしで歩くのは、難しい状態です。これからもリハビリの日々が続きます。

いまの男性を支えるのは、“家族”。そして“また旅に出る”という夢です。

「(旅に)出ます。間違いなく出ます。クルーズに乗ろうと思っています。来年この装具がとれれば(クルーズ船の旅に)行っていると思います。今後も辛い日々が続くんでしょうけど。甘んじてかかってしまったのだから自分も。叱咤激励してやるしかないですね」(男性)


Copyright© Tokyo Broadcasting System Television, Inc./ Japan News Network