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6月24日
【現場から、新型コロナ危機】「ECMOあるのに使えない」転院相次ぐ

国内で新型コロナの感染が急増した“第1波”の際、重症患者の治療の最後の切り札といわれる「ECMO」という人工心肺装置が医師らの経験不足で十分活用できず、患者の転院が相次いでいたことがわかりました。

新型コロナウイルスに感染し、重度の肺炎となった男性患者。この患者を救ったのは、「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置です。首や足の付け根から血液を抜き出し、酸素を送り込んで再び体内に戻すことで、肺を休ませながら回復を待つことができます。

このECMO、日本国内には推計およそ2200台あり、その数は世界トップクラス。しかし、感染拡大の“第1波”の際、医療現場では、「ECMOがあるのに使えない」という事態が起きていました。

群馬県にある前橋赤十字病院。ECMOのスペシャリストである鈴木裕之医師の元に、「新型コロナの患者を受け入れて欲しい」と“SOS”が届いたのは、今年2月のことでした。

「ほかに何とか受け入れができる『ECMO』を回せる病院はないかという打診のメールが」(前橋赤十字病院 高度救命救急センター 鈴木裕之医師)

“SOS”を出したのは、長野県の中核病院。この病院にもECMOはありましたが、心不全患者への使用実績はあったものの、重度の肺炎患者への長期的な治療には「対応できない」というのが理由でした。

「すでに自力で長野県内には打診済みで、全て受入不能」(メールの内容)

一刻を争う事態。このとき、鈴木医師が活用したのが、日本に数台しかない「ECMOカー」と呼ばれる特殊な救急車です。鈴木医師のチームはまず、長野の病院で患者にECMOを装着。ECMOをつけたまま、前橋赤十字病院に搬送することにしました。

「(ECMOカーならば)中で何か起きたとき、例えば回路のトラブルが起きた場合でも、緊急の対処が可能となるスペースがある」(前橋赤十字病院 高度救命救急センター 鈴木裕之医師)

「ECMOカー」は、大量の酸素なども搭載可能で、いわば「走る集中治療室」なのです。

「搬送中はとにかく早く病院に着きたい、祈りながらの搬送でした。ECMOが止まってしまうと、そこで命がなくなってしまうわけですから」(前橋赤十字病院 高度救命救急センター 鈴木裕之医師)

これまで、国内では新型コロナに感染した172人にECMOが使われ、その救命率は73%と高い実績を上げています。ただ、このうち77人がECMOを使うために転院を余儀なくされていたことが、ECMO治療を行う医師ネットワークへの取材でわかりました。なかには、名古屋から東京までおよそ350キロを搬送した例もあったといいます。

ネットワークの代表は、感染拡大の第2波に備え、“広域搬送”の体制作りを急ぐべきだと訴えます。

「ECMOをつけた状態で搬送するというのは、通常の救急車では非常に危険、手狭です。ECMO搬送車『ECMOカー』を整備する方がいい。特定の地域での固まった (感染の)発生はどうしても出ると思う。そこをいかに乗り切るか」(日本COVID-19対策ECMOnet 竹田晋浩代表)

ECMOをめぐる環境の整備が急務です。


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