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5月26日
【現場から、新型コロナ危機】タイ、求められる救済のスピード

新型コロナウイルスによる経済への影響が長期化する中、世界でも補償のスピード感が大きな課題となっています。東南アジア・タイでは政府の救済が届かない貧困層を中心に自殺者が増加し、社会問題となっています。

タイ政府が低所得者層への救済策として打ち出した5000バーツ、日本円でおよそ1万6500円の給付金は支給基準が明確でなく、受け取れない労働者らが連日、抗議に押しかけています。

この日の活動に参加していたタクシードライバーのナーム・ジャムスパーさん(58)。翌日の早朝、自宅で自ら首をつって死亡しているのを家族が発見しました。ナームさんと一緒に抗議活動に参加していたサックチャイさんは、職業も同じタクシードライバー。バンコクのはずれにある古い集合住宅で、1人で暮らしています。

「6畳ほどの部屋の中には空調設備もなく、洋服や布団など最低限のものしかありません。テレビは置いてありますが、料金が支払えず、今は見ることができないということです」(記者)

「一日1500~2000バーツ(日本円で5000~6600円)くらいあった売り上げが、新型コロナウイルスの影響で、一日400~500バーツ(1300~1650円)になった。ガソリン代を抜いたら、60バーツ(200円)しか残らない日もあります」(サックチャイさん)

タイのタクシードライバーの多くは、車のローンを抱えながら仕事をしていて、ナームさんは、その支払いにも苦しんでいました。

「もし給付金を早くもらえたら、ナームは死なないで済みました。彼は、いつもお金が全くないと、悩んでいました」(サックチャイさん)

タイではいま、政府の救済が間に合わずに自殺を選んでしまう人が増加し、社会問題となっています。幼い子どもを養うためバンコクに出稼ぎに出ていた19歳の女性は、先月、遺書の横にプラユット首相のスケッチを残し、自ら命を絶ちました。

「子どものために牛乳を買うお金もない。私は、この文章を涙で書いています」

なぜ、必要な人に補償が行き届かないのか。専門家は政府の見積もりの甘さを指摘します。

「政府は当初、支給対象を300万人と見積もっていました。この数は少なすぎます。少なくとも、2000万人の低所得者がウイルスの影響を受けています」(貧困問題を研究 タマサート大 ブンルート教授)

その後、支給対象は拡大されたものの、申請した人の半分にも満たないほか、予算も確保できておらず、多くの人が支給のめどが立たないまま、苦しい生活を強いられています。

「こんな状態が続くと、私も自殺した人たちと、同じ道を選ぶことになるかもしれません」(サックチャイさん)

求められる救済のスピード、それは貧困層にとって生死を分ける問題となっています。


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