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4月29日
【現場から、新型コロナ危機】クルーズ船 現場指揮官“過酷な現実”

「現場から、新型コロナ危機」。700人を超える感染者が出たクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。その中で現場指揮にあたった人物が取材に応じ、当時の過酷な状況を詳細に語りました。

「自分の人生の中でも一番つらい経験だったかもしれない」(厚生労働省 新型コロナウイルス対策本部 正林督章 事務局長代理)

こう話すのは、正林督章さん(57)。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の中で対策チームを束ねる事務方のトップとして現場指揮にあたった人物です。本来の仕事は、環境省の幹部である官房審議官ですが、厚労省で長年、感染症対策を担当してきた経験から白羽の矢が立ったといいます。

「自分自身が感染を受けるんじゃないかという恐怖。3700人の方の健康管理をしないといけない、水際で止めないといけない、感染拡大を止めないといけない、そういうプレッシャー」(厚生労働省 新型コロナウイルス対策本部 正林督章 事務局長代理)

クルーズ船に感染者がいることが初めて分かったのは2月4日。正林さんはこの直後、すぐにクルーズ船で指揮を執るよう加藤大臣から指示を受け、5日の明け方、船に乗り込みました。

「救急車がまた1台、出てきました」(記者)

息をつく余裕もなく、感染者の数は増加していきました。

「(感染者数が)10、10、ときて40だったので、本当に驚きました。一体何人このあと陽性者が出るんだろうと。最初は一睡もできない状態で、ずっと5日6日7日ぐらいまでほとんど寝られてなかったと思います」(厚生労働省 新型コロナウイルス対策本部 正林督章 事務局長代理)

およそ3700人の乗客・乗員を上陸させることはできず、船に14日間。原則、それぞれの部屋の中で滞在してもらうことが決まりました。

「かなり精神的に不安定になる方がいらっしゃって、『私はこのまま海に飛び込んで死んでしまいたい』という方も何人もいらっしゃいましたし、『そういう方々が夜中、もし海に飛び込んだらどうしよう』とか、ゆっくり休めることがなかった。窓のない部屋って本当に外の空気が入るわけでもなく、完全に隔離された状態だったので、ここで14日間過ごすのは相当大変だろうなと。『責任者を出せ』というクレームも結構あったので、しかたなく私が電話を出るときもありましたし、『とにかく早く下ろせ』ですね。もう本当に怒鳴りながら1時間ぐらいお話を聞くということをしていました」(厚生労働省 新型コロナウイルス対策本部 正林督章 事務局長代理)

やがて、発症する患者が減り始めたことで、胸をなでおろしたといいます。

「一応感染の制御はできていたのかなと。新規の発熱の患者さんは減ってるなってのがなんとなく1週間たってからだと思いますけど。みんなで確認して『ああ、ちゃんと確実に減ってるな』と、お互いに認識したと思います」(厚生労働省 新型コロナウイルス対策本部 正林督章 事務局長代理)

感染者は722人。このうち13人が亡くなりました。下船したあとで感染が確認された人も26人に上ります。しかし、それ以上の感染の広がりは確認されず、正林さんは、ぎりぎりのところで、くい止めることができたのではないかと感じています。

「大変つらいことをお願いし、それをやっていただいて、なんとか感染の流入を水際で防ぐことができたと思いますので、本当に乗客の方、あるいは乗員の方のご協力に対しては感謝の気持ちでいっぱいです」(厚生労働省 新型コロナウイルス対策本部 正林督章 事務局長代理)


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