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2021年5月5日
新型コロナの影響 「消えた学生」が社会問題に

今、アメリカでは新型コロナの影響で生活環境が悪化して学校に通えない「消えた学生」と呼ばれる若者が社会問題となっています。ある高校の現状を取材しました。

今、アメリカで社会問題化する「消えた学生」。その数は一時、全米で300万人にのぼったともいわれています。

「これから学校に来ていない、連絡のとれない生徒、いわゆる“消えた学生”の自宅を訪ねるということです」(記者)

アメリカ南部・ノースカロライナ州。ソーシャルワーカーが訪ね歩くのは、連絡が取れなくなっている高校生の自宅です。家の中から応答はありません。

「誰か住んでいるようだけど、生徒かどうかは分かりません」(高校のソーシャルワーカー)

アメリカでは新型コロナの感染拡大以降、親が職を失い家庭を支えるため働きに出る学生や、オンライン授業に参加するためのデジタル機器を持たない学生が学校をドロップアウトし、教育機関との連絡が途絶える事例が増加しています。

「連絡がつくのは5軒訪ねて2軒ほどです」(高校のソーシャルワーカー)

学校から「消えた学生」の1人となった高校生に出会いました。母親と2人で暮らすルースさん、17歳。新型コロナの不況を理由に、家計を支えるためのアルバイトを解雇されました。

「新型コロナで失ったものは大きい。母は病気で働けず、私は仕事を解雇されました」(ルース・ボアさん)

ルースさんの場合、自宅の家賃が支払えなくなってしまったところ、高校は地域からの寄付を原資とする基金から3か月分を用立てる支援を手配してくれました。

「心が折れた時、先生が励まし続けてくれました」(ルース・ボアさん)

サポートを受け、今年に入り復学することができました。

「間違いなく100人から200人の生徒と連絡が途絶えました」(エリック・ナグリー校長)

ルースさんが通う高校の全校生徒は1800人。10%前後と連絡が途絶えたことになります。様々な事情を抱え未だ学校に通学できていない生徒もいます。

「オンライン授業が終わると着替えて仕事に行きます。その後、母が預けている娘を迎えにいきます」(レネー・マッケンジーさん)

日本でいう高校3年生のレネーさんは去年7月、赤ちゃんを出産。

「娘を育て上げるためにも高校卒業は大切なことです」(レネー・マッケンジーさん)

育児と仕事に追われながらも卒業を目指すレネーさんに対して、高校はパソコンや教材を自宅に届けました。

「卒業の準備は出来ていますか?全員そうだろう?」(エリック・ナグリー校長)

今、6月の卒業シーズンが目の前に迫ります。高校は新型コロナで学習が遅れた生徒を対象に「卒業作戦」と名付けた特別カリキュラムを始めました。

「大学や就職へ進むことができるよう、高校での素晴らしい経験を提供したいと思います」(エリック・ナグリー校長)

ルースさんもこの授業を受けながら卒業を、そして進学を、目指すところまできています。

「私は小さな頃、アフリカからアメリカに来ました。移民のコンサルタントになるために進学したいです」(ルース・ボアさん)

新型コロナが奪った教育機会。未来に向けて進み始めた生徒たちがいる一方、未だ学校に戻れていない多くの学生がいることも現実です。