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2021年5月4日
名産ムラサキウニの水揚げ減少の危機 救世主は廃棄レタス!?

今回は、捨てられる食材を使って、特産品を守ろうという小さな町の挑戦です。

美しい海に囲まれた人口7000人ほどの熊本県苓北町。この暗い建物の中で養殖されているのが、町特産のムラサキウニです。

「(味を)天然物に近づけて、新たな商品として開発できれば」(苓北町 農林水産課 櫻井庄司さん)

例年3月に漁が解禁され、地域の旅館では天然のムラサキウニを前面に打ち出したイベントが人気を集めています。

「ムラサキウニ最高」

しかし、近年苓北町では水揚げ量が減少傾向で、9年前と比べると半減しています。

「去年は、あんまり揚がっていない。(ウニの)エサがない」(地元の漁師)

温暖化や相次ぐ豪雨の影響などでムラサキウニのエサとなる海藻が少なくなり、育ちが悪いウニが増えてしまったと言います。

「エサがないので、身が詰まらない。採ってもお金にならない」(苓北町 農林水産課 櫻井庄司さん)

この状況に漁業関係者の間で危機感が高まり、町の名物を守ろうと2年前、養殖に乗り出しました。しかし、養殖は運営コストの8割ほどがエサ代で、通常の養殖で使われるキャベツや海藻の費用負担が大きく課題となっていました。そこで町の担当者が目を付けたのがもう一つの町の特産でした。それが「苓北レタス」。

「すごいフレッシュですね」(記者)

今、収穫の時期を迎えている特産レタス。その作業を見てみると、切り取る際、外側の葉を取りのぞいています。

「商品になるのは、これぐらい。廃棄です」(レタス生産者 田嶋健司さん)

外側の葉は出荷時にサイズを統一するため捨てられてしまいます。その量はなんと全体のおよそ3割。

「全然、食べられる。もったいないぐらい。大事な資源なので、廃棄されるのではなく有効活用できないかと」(苓北町 農林水産課 櫻井庄司さん)

そこで町はエサのコストが課題となっていたウニの養殖に、廃棄されるレタスを活用することにしました。こうして始まった養殖。天然のウニは普段レタスを食べる環境にありませんが、食いつきは悪くないようです。

「食べ具合は、いいと思う。喜んでいると思って、エサをやっている」(養殖業者「天志」 福田伸二郎さん)

今年2シーズン目を迎えたレタスでのウニ養殖。初めての挑戦だった去年は、味に関して課題がありました。

「色が薄いし、味も淡泊」(苓北町 農林水産課 櫻井庄司さん)

食料の有効活用から思い立った養殖ウニの商品化。天然物の味に近づけるため、レタスに加える食材を探す日々が続きます。