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2021年3月22日【CBCテレビ】
小耳症の少女「つけると勇気出る」 体の一部再現の装具“エピテーゼ”

体の一部を再現した装具、「エピテーゼ」をご存じでしょうか。病気などで指や耳を失い、見た目での差別や引け目に苦しむ人々の大きな救いになっています。

柔らかいシリコン樹脂で作られる「耳」。身体の一部が事故や病気で失われた人のための装具「エピテーゼ」です。愛知県に住む中学2年生のさくらさん(仮名・14歳)。

「接着剤の量が少ないととれるので、しっかり付けましょう」

さくらさんは、生まれた時から耳の一部がない「小耳症」で、最近、エピテーゼを作りました。

「子どもとすれ違った時に、後ろを見てみたら、じっとこっちを見ていることがよくあった。思いきりこっちを見て、ヒソヒソと言っていることもあったし…」(耳のエピテーゼを利用する さくらさん〔仮名〕)

人の目が気になり、小学生の途中から学校に行けなくなったさくらさん。そんなときに知ったのが、エピテーゼです。

エピテーゼを製作している名古屋市名東区の「池山メディカルジャパン」。指や耳、乳房など多くの種類があります。

「1色のシリコンで作ってしまうと、どうしても作り物っぽくなる。何色も色を使ってリアルな質感に仕上げる」(池山メディカルジャパン 歌岡緑さん)

大きさや形、色も、その人に合わせて全て手作りです。

エピテーゼをつけて出かけるさくらさん、楽しみにしていたことがあります。それは、普通のマスクを買うこと。新型コロナウイルスで毎日必要になりましたが、耳にかけられないため、特殊なものしか使えませんでした。ただマスクをつける。何でもないことが、さくらさんには大きな意味を持ちます。

「うれしい。街で“あのマスク何だろう”と言われることがあったので、それがちょっと嫌だったので、前よりは外に出られると思う」(耳のエピテーゼを利用する さくらさん〔仮名〕)

エピテーゼをつけると、勇気が出るというさくらさん。今は週に1、2回、学校にも行けるようにもなりました。そして、将来の夢も。

「(エピテーゼを)作ることをしたい。体の一部がないことで“外に出るのが嫌だ”と思う人がたくさんいる。そういう人たちの気持ちが楽になればいいなと」(耳のエピテーゼを利用する さくらさん〔仮名〕)

誰もが平等に暮らせる社会。エピテーゼは、その手助けとなっています。