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2021年2月25日
テロ撲滅はできるのか? フランス、「テロリスト」の親たちの苦悩

今回のテーマは「テロ撲滅」です。いまも国内テロの脅威にさらされているフランスで、子どもが「イスラム過激派のテロリスト」となった親たちの苦悩を取材しました。

「息子はイスラム教の本質を探し求め、最初は見つかったようですが、そのあと過激化しました」(息子が「イスラム国」へ参加した ベロニク・ロワさん)

ベロニクさんの息子、コンタンさんはサッカーコーチを目指す明るい青年でしたが、20歳の時、カトリック教徒の家の中で一人、イスラム教に改宗します。徐々に見た目や、つき合う仲間が変わり、22歳の時、周囲に何も告げずシリアに渡って、過激派組織「イスラム国」へ加わりました。

そして5年前、「イスラム国」の戦闘員を名乗る人物から、息子が「イラクで自爆テロを行い死亡した」とメッセージが送られてきたといいます。

「今なら私たち親は息子の変化をもっと警戒していたと思うのですが、もう過去には戻れません」(息子が「イスラム国」へ参加した ベロニク・ロワさん)

フランスでは130人が犠牲となった2015年の「パリ同時多発テロ」以来、計画的かつ大規模な事件が影をひそめる一方で、過激化した若者が単独で犯行に及ぶケースが目立ち、発生件数自体は減少していません。テロはどうすればなくなるのでしょうか?息子がパリ同時多発テロの実行犯となった父親が私達の取材に応じました。

「息子が過激化したのは、段階的ながらもとても早かったです」(パリ同時多発テロ実行犯の父親 アズディヌ・アミムールさん)

パリの劇場で多くの人を襲撃し、現場で射殺された息子のサミー容疑者。アズディヌさんは幾度となく言動をただし、モスクへ付き添い、シリアでも目を覚ますよう説得しましたが、洗脳は止められなかったといいます。

「(この5年)ずっとどこで間違えたんだろうと自分に問い続けています」(パリ同時多発テロ実行犯の父親 アズディヌ・アミムールさん)

いま議会では、イスラム過激派対策についての法案が審議されています。イスラム教徒らの社会からの「分離」を食い止め、フランスの価値観へ「同化」させる必要があるとして、「モスクの閉鎖条件の拡大」や「イスラム教徒の家庭内教育を制限する」内容が盛り込まれています。

しかし、これまでも事件が起きるたびにイスラム教徒を対象にした規制が強化されてきましたが、テロの連鎖は断ち切れていません。アズディヌさんは、今回の法案がフランスへの同化をうたいながら、逆にイスラム教徒への差別や分断を進めるのではないかと危惧しています。その上で、テロ対策では教育と対話こそが重要だと感じています。

「本当に幼い頃から皆で一緒に生きることを教えるべきなのだと思います。そして、過激思想について議論する。学校でも刑務所でも対話していくことが大切です」(パリ同時多発テロ実行犯の父親 アズディヌ・アミムールさん)

テロ撲滅、それは共に生きる社会を構築するという長い道のりの先にあるのかもしれません。