現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年12月27日【北海道放送】
トイレで途上国の子どもたちを救う

日本では不自由なく使っているトイレ。しかし、世界を見渡すとそれは当たり前ではありません。北海道の企業が、トイレで発展途上国の子どもたちを救おうと動き出しています。

北海道深川市のコンクリート製造工場です。その敷地に一風変わった円形の建物があります。中に入ってみると、水を必要としないバイオトイレです。苫小牧市に本社のある会沢高圧コンクリートが製造しました。

トイレの底にあるのはおがくず。このおがくずに含まれるバクテリアが、排泄物を分解するため水が必要ないのです。このトイレは3Dプリンターで作られたものです。

「スピーディーにできて、型枠も必要なく、好きなデザインができる。輸送やコンクリートの材料を製作するときに出るCO2の削減にもなる」(会沢高圧コンクリート・石井美穂さん)

なぜ、このようなトイレが作られたのか…。

「インドのトイレ事情を知り、この技術が役に立つのではないかと思った」(石井美穂さん)

去年5月、3Dプリンターの活用方法を探るためインドへ視察にいった石井さんらは、清潔に保たれていないトイレを使ったり草むらや川で排泄したりする現実を目の当たりにしました。

「家にトイレがない家が多いので、公衆トイレや屋外で排せつしたとき、襲われたり、サソリに刺されたりすることがある」(石井美穂さん)

インドでは汚染水などで多くの子どもたちが命を落としています。

「水の問題が住民の中でも大きな問題だと思った。そこをなんとかできたらと思った」(会沢高圧コンクリート・吉田百合恵さん)

帰国した石井さんらは、3Dプリンターで初めてトイレを設計。上下水道が発達していないインドで水がなくても使えるおがくずを考えました。しかし…。

「このままだと感染拡大が非常に大きくなっている。外出を控えていただきたいと」(北海道・鈴木直道知事)

3月、新型コロナウイルスの感染拡大で計画は一時停止に。しかし、石井さんたちは前を向いています。

「SDGsに関して、言葉も知らなかった。インドでインタビューしたたくさんの声を形にできた。その人たちに届けたい」(吉田百合恵さん)

「早くインドに置いて、安心安全なトイレを使ってもらいたい」(石井美穂さん)

地方の企業の熱い思いが国際的な課題解決につながる日は、そう遠くはありません。