現場から、SDGs 2030年の世界へ

2020年12月21日【静岡放送】
浜松市 過疎化進む山あいでも最新技術で快適に

過疎化が進む山あいの地域で暮らす人たちに、よりよい生活をしてもらおうと、静岡県浜松市では最新の技術を使った実証実験が始まっています。

浜松市の公道を、住民を乗せた小さな自動運転の車が走りました。

「今回の実証実験のポイントは、街中や高速道路ではなく、こういった中山間地域で実験を行っているということです」(記者)

実験の舞台は、浜松市の山間部・天竜区水窪地区。人口およそ1900人で、平均年齢は65歳。高齢者の割合は6割を超えています。

Q.車は運転していない?

「していない」(買い物に来た住民)

Q.自動運転のタクシーがあったら使う?

「使います」(買い物に来た住民)

交通手段がない高齢者が「ちょっとスーパーや郵便局まで」という外出を後押しする役割が期待されています。

そして、この車の魅力は超低コストという点です。本来、自動運転の車では高精度のセンサーや膨大なデータを組み込んだ3Dマップなどを使うため、開発に数千万円の費用がかかります。

今回使用した車は、もともとは数十万円の市販の電気自動車で、自動運転機能は手作りで後から取り付けました。車の位置を把握して目的地へと導くGPSに加えて、センサーやカメラを組み合わせました。どの道でも臨機応変に走るのではなく、特定のルートを安全に走ることに特化した「地区専用の自動運転モビリティ」にすることで、コストを削減しています。

「この車は安全面を考慮して、時速5キロくらいで走っています」(記者)

走る速度を落とすことで、AIによる道路情報の処理に余裕を持たせ、安全性を高めています。

「実験だけで終わらずに、タクシー会社などと話しながら、事業として持続可能なものとして、実走するための話し合いをしていきたい」(Perceptln 川手恭輔さん)

さらに、浜松市は山あいの地域の農業に技術革新をもたらすプロジェクトも進めています。

開けた平地が少ない中山間地域では、ラジコンヘリなどの大型機械を導入するのは難しいため、ドローンを使ったスモールスマート農業が効果を発揮します。ドローンに付けられたこのカメラは、光を波長ごとに分解した特殊な写真を撮影でき、そのデータを専用のソフトで解析すると、ダイコンの葉の色から成長の具合を一度に把握できます。オレンジ色の部分のダイコンがよく育っていることを示しています。

「再来年の3月までにスマート農機を使って、中山間地に利益を出せるかどうか確認したい」(浜松市 農業水産課 松尾和弥さん)

積極的に新しい技術を取り入れる浜松の「やらまいか精神」が住みやすいまちづくりを後押ししています。